【ピアノ】メロディラインを明確にするトリル

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トリルが使用される意図は多くありますが、
それらのうち
「メロディラインを明確にするため」
という理由が読み取れる例を解説します。

 

具体例で見てみましょう。

楽曲が変わっても基本的な考え方は応用できます。

 

ラヴェル「クープランの墓 より メヌエット」

譜例(PD楽曲、Finaleで作成、121-128小節)

ここでは2つの声部にトリルが書かれていますが

なぜ、あえて内声の2声部のみに書かれているのかを

考えてみましょう。

 

121小節目から

下段で「So Mi Re」という第2の旋律が繰り返されていますので、

トリルが書かれている小節でも

「So Mi Re」の「Re」を聴かせたいわけです。

 

しかしここでは「Re」の音を内声に設置しているので

強調が難しく

なおかつ、

ピアノは減衰楽器なので音を持続できず

メロディラインが不明確になってしまいます。

 

そこで、

Reの音をトリルにすることで

持続の効果を強め、

「So Mi Re」というラインを拾い上げています。

 

演奏上は

「So Mi」のニュアンスをよく聴いたうえで

「Re」のトリルのバランスを決めなくてはいけません。

 

「メロディをわざわざ内声に配置する必要があったのか」

ということに関しては、

上段のFaやLaが1オクターブ下では

ラヴェルのイメージに合わなかったのでしょう。

 

トリルにより持続の効果が高まり、彩色もされます。

もちろん、もう一方のトリルはハモリだと思ってOK。

ここでは他の声部は伸ばしているだけですので

単独トリルよりも

2声が一緒にトリルすることで

音響が薄くなってしまう印象も和らいでいます。

 

今回の例は、

平たく言うと

「メロディラインを明確にするトリル」

であり、

減衰楽器の特性をうまく補助するような

効果的な書法になっていることを

読み取りましょう。

 


 

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この記事を書いた人
タカノユウヤ

ピアノ音楽(ピアノソロ、ピアノが編成に入った室内楽 など)の魅力にとりつかれて、早何十年。
ピアノ音楽の作曲・編曲が専門。
物書きとしては楽譜だけでなく文章も書いており、
音楽雑誌やサイトなどでピアノ関連の文筆を手がけています。
Webメディア「大人のための独学用Webピアノ教室」の運営もしています。
受賞歴として、第88回日本音楽コンクール 作曲部門 入賞 他。

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