取り組む楽曲を決めるときには、
「練習曲」と「楽曲」に分類して考えてみましょう。
例えば「バイエル」や「ツェルニー」などといった反復志向が強い曲集。
「ソナチネ」や「ブルグミュラー」などといった音楽的な作品が中心の曲集。
初級の頃は負担が増えすぎてもよくないので、
「練習曲」と「楽曲」の曲集をそれぞれ1冊ずつの「計2冊」
に取り組むのがおすすめです。
(伝統的な進め方を取らない場合は、別のやり方でも構いません。)
ブルグミュラー25の練習曲は
練習曲というタイトルがついてはいますが、
非常に音楽的な作品群ですので
「楽曲」としての曲集だと思って良いでしょう。
目安としては、
ブルグミュラー25の練習曲は
「バイエルの後半あたり」から併用します。
練習曲としては「バイエル」が終わり次第、
「ツェルニー100番」もしくは「ツェルニー30番」などに変更。
そして、
楽曲としては「ブルグミュラー25の練習曲」の次にどんな曲集に取り組むべきか、
というのが今回の話題。
パターンは何通りか考えられます。
■ブルグミュラー25の練習曲が終わったら
♬「ソナチネアルバム 第1巻」へ入る
「ソナチネアルバム 第1巻」は、
古典派のソナタへ向かうにあたって通るべき曲集です。
もちろん全曲に取り組む必要はありませんが、
「クーラウ」や「クレメンティ」などの定番のソナチネには触れておくべき。
「1-12番までのソナチネが定番のもの」ですので、
ここから数曲抜粋して練習しましょう。
「1番」から順番に取り組んでいく曲集ではなく、
難易度はバラバラに収録されています。
ソナチネアルバム 第1巻では「第7番」として収録されている
クレメンティ「6つのソナチネ 作品36 第1番 ハ長調」
から取り組むのが一般的で、
難易度としても
いちばん取り組みやすい作品となっています。
「ソナチネアルバム 第1巻」の「第13番」以降の楽曲は
モーツァルトのソナタなど
別の曲集でも学習できる作品が中心です。
したがって、独学の方はパスしてもいいでしょう。
◉ ソナチネ アルバム 1(今井顕 校訂・注解) (Zen-on piano library)
♬ J.S.バッハ「2声のインヴェンション」へ入る
ソナチネではなく、
J.S.バッハ「2声のインヴェンション」へ入るのもアリ。
場合によっては、
「ソナチネアルバム 第1巻」「2声のインヴェンション」「ツェルニー30番」などと
3冊を併用することもありますが、
曲集が増えてしまい負担になってしまうと思います。
まずは2冊のみにしぼって学習していくほうが
独学には適切でしょう。
練習方法ですが、
ヘンレ版などではアーティキュレーションが書かれていませんので
J.S.バッハに慣れていない独学の方には向きません。
したがって、
「解釈版」をそのまま使って学習してしまいましょう。
おすすめの楽譜は、
「園田高弘 校訂版 J.S.バッハ インヴェンション BWV772−786(春秋社)」
こちらの解釈版です。
「アーティキュレーション」はもちろん、
「運指」や「装飾音符の入れ方」まで
幅広くカバーできます。
解釈版の中でも詳しい印象があるということと、
必要であれば校訂者による参考演奏音源も手に入れられることが信頼のポイント。
この楽譜の解説では、
それぞれの番号をどの順序で取り組んでいくのがベストなのかも書かれていますので、
基本的にはその順序で練習していけばOK。
レヴェルも加味した上で
インヴェンションの中における効果的な取り組み順序が考えられています。
◉ 園田高弘 校訂版 J.S.バッハ インヴェンション BWV772−786
♬「ブルグミュラー18の練習曲」は使わないのか
ブルグミュラー25の練習曲に続いて取り入れられることがある、
「ブルグミュラー18の練習曲」という曲集があります。
この曲集の中にも魅力的な作品は入っていますが、
まるまる1冊すべてに取り組む必要はないでしょう。
ブルグミュラー25の練習曲は
1曲あたりの楽曲の長さや音楽性の幅広さなども含め
総合的にバランスのとれた素晴らしい曲集でしたが、
「ブルグミュラー18の練習曲」には
ややツェルニーの練習曲に置き換えられるような楽曲が見られます。
また、
この段階にまで達したのであれば、
ブルグミュラーではなく
別の作曲家の作品にもどんどん触れていくべきだというのが大きな理由。
もしこの曲集の中に好きな楽曲があるのであれば、
演奏会のためなどに
単曲で取り出して練習してみるのはアリだと考えています。
◉ ブルクミュラー 18の練習曲 (Zen-on piano library)
Amazon著者ページ
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