具体例で見てみましょう。
楽曲が変わっても基本的な考え方は応用できます。
譜例(PD楽曲、Finaleで作成、88-90小節)
このような左手にメロディがくるところで
右手も動いていると
タイミングを合わせるのが難しく感じる方も
いるのではないでしょうか。
おすすめする練習方法は、以下の4ステップです。
② 片手のみで、理想のテンポで完璧に弾けるようにする
③ 両手で、ゆっくりの速度で合わせ、暗譜まで済ませる
④ 両手で、ゆっくりの速度と速い速度を組み合わせて練習する
① 片手ずつ、音楽の意味を理解する
まずは、それぞれのパートの意味を捉えることで
無駄な動きを最小限にし、
音楽に合った効率の良い打鍵と
音楽的な表現を目指します。
(再掲)
例えばこの譜例のところでは、
右手で演奏するパートの役割は
リズムとハーモニーです。
16分音符によるトレモロが
左手で演奏するメロディのスキマを埋めてリズムを補い、
同時に、持続の役割でハーモニーを聴かせています。
つまり、
主役ではないので
メロディよりも目立たないように
演奏しなければいけません。
f というのは
あくまで両手を合わせたときに f のエネルギーになればいいということなので、
右手をあまりガツガツ弾かないことが重要。
(再掲)
左手の役割は、もちろんメロディですね。
ただし、
メロディだと把握するのみでなく、
どの音を強調して
どの音を控えめに聴かせるのかといった
細かなところまで
読み取ってください。
(再掲)
例えば、点線カギマークで示した同音連打では
「3拍目ジャスト」かつ「長い音価」である3つ目の音に
いちばん重みが入ります。
また、実線カギマークで示した部分がひとかたまりなので、
その終わり部分は
ややおさめるべきです。
記事の趣旨が変わってしまうので
これ以上は割愛しますが、
こういった音楽の把握を細かくおこなうことが必要でしょう。
② 片手のみで、理想のテンポで完璧に弾けるようにする
これも、ぜったいに外せません。
片手のみであれば完璧に弾ける状態にしておけば、
あとは、両手で合わせたときに生じる頭の混乱に慣れればいい、
ということになります。
この過程を軽視しないようにしてください。
③ 両手で、ゆっくりの速度で合わせ、暗譜まで済ませる
(再掲)
ここまで出来たら、
ようやく両手で合わせ始めましょう。
ゆっくりであれば
両手でも完璧に音楽的に弾ける状態にし、
遅くてもこの段階までに暗譜を済ませてください。
暗譜ができていないような
余裕のない状態でテンポを上げるのは
ムリがあります。
ましてや、両手のタイミングがバラバラになりやすいところなので、
余計なことに意識を使う量を極力減らすためにも
とにかく、暗譜をしてください。
④ 両手で、ゆっくりの速度と速い速度を組み合わせて練習する
(再掲)
仕上げとして、
両手演奏で、ゆっくりの速度と速い速度を織り交ぜながら
頭の混乱を減らしていきます。
この過程のポイントは、
「どちらかの練習にかたよらないように注意する」
ということ。
ゆっくりのみ弾いていてもテンポは上がりませんし、
速くのみでは
嘘ばかり弾いてしまいます。
両方を取り入れながら
徐々に速い速度にも頭を慣らしていくことで、
理想の仕上がりを目指せるでしょう。
ここまで読んで
すでに気が付いた方もいるかもしれませんが、
結局は、通常の難しいところでテンポを上げていくやり方と
大差ありません。
ひとつ付け加えるとしたら、
両手のタイミングが合いにくいところでは
身体の軸の安定性が必要不可欠なので
いつも以上に
椅子の位置、座る位置、座り方などの基本的なことをしっかりと確認してから
練習を始めるべきです。
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