(譜例)
タイでつながれた音にスタッカートがついています。
この記譜はピアノ曲でもよく見られます。
ただ、どうやって演奏したらいいか迷ってしまうのではないでしょうか。
歴史的にはいくつかの解釈がされている記譜ですが、
そのうちの一つの解釈を解説します。
(再掲)
まず、譜例の場合の「音の長さ」としては
「4分音符 + 16分音符」
とほぼ同じであると捉えて構いません。
8分音符にスタッカートがついているので、
テンポなどにもよりますが
おおよそ半分の音価になると解釈できるからです。
では、どうしてあえてこのような記譜にするのかというと、
「スタッカートがついた音符で、指を上に跳ね上げるようにする奏法の指示」
なのです。
(「タイ」ですので、「打鍵し直す」という意味ではありません。)
そうすることで
「リリース(離鍵)」が急速になるので余韻が短くなる。
作曲家はこれを狙って書いているケースがあるというわけです。
音の長さ自体は
「4分音符 + 16分音符」と同じくらいでも
リリースの速さが異なると余韻の長さは変わるので
表現が異なってきます。
指を上に跳ね上げるようにする奏法なので、
「ケル(蹴る)」
などと奏法に名前をつけて呼ぶ方もいるようです。
すごく些細なことのように思うかもしれませんが、
「余韻がどこで切れるのか」
これが変わると、
「直後の休符が聴感上どこから始まるのか」
といったことに影響します。
その結果、
グルーブや音楽の締まり方が変わります。
こういった細かなことを
「別にいいや」
などと決してないがしろにせず
「やってみよう」
と表現する気になれることが上級への第一歩です。
ちなみに、
こういった記譜に出会ったときは
「タイを取り払った状態で練習しておき、それができるようになったらタイを戻してみる」
という練習方法を取り入れてみましょう。
そうすると「ケル(蹴る)感覚」と「どのタイミングでケルか」
というポイントをつかむことができます。
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