【ピアノ】ペダルでバスをどこまで伸ばすかの実例解説

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「ペダルでバスをどこまで伸ばすか」
ということは
音楽表現と直に結びついており、
重要な視点と言えるでしょう。
本記事では、
作品の断片を使って
楽曲理解をするところから含めて
やや細かく解説をしていきます。

 

具体例を見てみましょう。

楽曲が変わっても考え方は応用できます。

 

モーツァルト「ピアノソナタ第14番 K.457 第3楽章」

譜例(PD楽曲、Finaleで作成、299-305小節)

ペダリングの決定に関しては

楽曲理解が欠かせませんので、

まずは、譜例の部分に関して

分析的な観点で見ていきましょう。

 

譜例のはじめ、

299-300小節の下段に見える付点2分音符はメロディです。

では、301小節目では

メロディはどこへ行ったのでしょうか。

 

上段に丸印で示したAs音がありますが、

この音は、メロディではなくバス。

同じ付点2分音符だからか

メロディと勘違いされてかなり強調されているのを

耳にすることもありますが、

その解釈は疑問です。

 

矢印で示したように

それまでメロディだったH音は

8分音符の動きに出てくるC音へと解決しますが、

とうぜん、この動きはメロディではありません。

つまり、

メロディは301小節目で伴奏へと吸収され、

301小節目はメロディ不在ということ。

 

(再掲)

カギマークで示した高音からメロディが戻り、

手を交差して

低音のバス兼メロディへ移っていきます。

 

「301-303小節はずっと同じ和声」

ということに気が付ければ、

「丸印で示したバス音を3小節間ペダルで残す」

というやり方も一案だと分かります。

 

(再掲)

ここまでを踏まえて

再度、譜例に書き込んだペダリングを見てください。

 

2段に分けて補足したペダリングのうち

上段のほうは

バスが3小節間のびているものとして

長くペダルを使ったもの、

下段のほうは

バスは印象として耳に残っているものとして

ペダル自体は1小節ずつ踏み替えてしまうもの。

 

この作品では

モーツァルトのピアノ音楽としては

幅広い音域が使用されていたり、

また、手の交差などのテクニックが用いられていることから

交響曲を聴いているような印象も受けますね。

そういったことを考えると、

上段のペダリングのほうがベター。

バス、伴奏、メロディの3要素を

多層的に聴かせることができるペダリングだからです。

 


 

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この記事を書いた人
タカノユウヤ

ピアノ音楽(ピアノソロ、ピアノが編成に入った室内楽 など)の魅力にとりつかれて、早何十年。
ピアノ音楽の作曲・編曲が専門。
物書きとしては楽譜だけでなく文章も書いており、
音楽雑誌やサイトなどでピアノ関連の文筆を手がけています。
Webメディア「大人のための独学用Webピアノ教室」の運営もしています。
受賞歴として、第88回日本音楽コンクール 作曲部門 入賞 他。

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