【ピアノ】回想的表現をイメージさせる繰り返し

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回想的表現をイメージさせる繰り返しについて
実際の作品をもとに解説します。
楽曲理解のコツを見ていくことが目的なので
別の作品でも応用できる考え方となっています。

 

以下のふたつの譜例を見比べてください。

 

プロコフィエフ「ピアノソナタ第1番 ヘ短調 作品1」

譜例(PD作品、Finaleで作成、11-12小節 および 146-147小節)

上の譜例が提示部で、

下の譜例が再現部で出てくる共通箇所。

「回想的なイメージを喚起させるつくり」

になっています。

 

譜例の短い部分に限って言えば、

再現でとられた変化は

以下の4点。

◉ Meno mossoでテンポが下がった
◉ ダイナミクスが pp に下がった
◉ 内声にクロマティックな進行が追加された
◉ 上段の音の厚みがやや薄くなった

 

11-12小節のダイナミクスは

前後関係から考えると

p から mp 程度だと考えられます。

 

テンポが下がって

クロマティックな動きが追加されたことで

提示部に比べると

感情の起伏がやや大きくなったような印象を受けます。

それを pp という弱奏で訴えている。

 

回想的に感じる要素は

このような繊細な表現にあります。

回想をもってくるにふさわしい

中間クライマックスの直後へ配置されているので

より、回想的に聴こえますね。

提示部を思い出すように弾くべきでしょう。

 

(再掲)

下段は提示部と同様ですし

メロディが奏でられる音域も変化していません。

しかし、

少しニュアンスが変更されただけで

ずいぶんと音楽の印象に差がつけられていることに

注意を向けてみてください。

 

こういった部分は、

◉ 何が変化されたのか
◉ 何が変化されなかったのか

この “両方” を調べることで

自分の聴覚に訴えかけてくる表現がつくられている理由を

理解することができます。

 


 

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この記事を書いた人
タカノユウヤ

ピアノ音楽(ピアノソロ、ピアノが編成に入った室内楽 など)の魅力にとりつかれて、早何十年。
ピアノ音楽の作曲・編曲が専門。
物書きとしては楽譜だけでなく文章も書いており、
音楽雑誌やサイトなどでピアノ関連の文筆を手がけています。
Webメディア「大人のための独学用Webピアノ教室」の運営もしています。
受賞歴として、第88回日本音楽コンクール 作曲部門 入賞 他。

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