多くの作品では
小さなフレーズが組み合わされて
大きなフレーズを形成しています。
つまり、
各々の小フレーズ同士の関係を調べて理解しないと
大きなフレーズを理解することはできません。
具体例とともに
フレーズをについて見ていきます。
楽曲が変わっても基本的な考え方は応用できます。
譜例(PD作品、Finaleで作成、曲頭)
版によって多少フレージングの違いがあるので、
今回はパデレフスキ版を元に解説します。
ここでは、
4小節間という
ひとつづきのメロディによる大フレーズが
4つの小フレーズから成り立っています。
【小フレーズB】 小フレーズAを発展させた、さらなる語りかけ
【小フレーズC】 小フレーズBとDをつなぐ、下行傾向の経過的な小フレーズ
【小フレーズD】 小フレーズBをさらに発展させた、大フレーズのクライマックス
主に、小フレーズBとDが
”ものを言う” フレーズになっています。
だからこそ、
小フレーズCは
あえて遠慮がちにつないでいる。
小フレーズDという
この大フレーズにおけるクライマックスを活かすために
どのような工夫がこらされているのか。
そういった部分に注目してください。
もっと細かく見てみましょう。
(再掲)
小フレーズAで出てくる
最初の6度跳躍のつかみ①が
小フレーズBで3回反復。
②は同型の入り。
③で、跳躍音程が1オクターブに広がり、
いっそう語りかけを強いものにしています。
④では、少し控えめの表現になることで
小フレーズBを自然に締めくくる準備をする。
そして、
小フレーズDの⑤では
③よりもさらに跳躍音程が広がり
10度跳躍することで
クライマックスを形成しています。
10度跳躍したことで
より高いエネルギーと緊張感が生まれましたが、
その後は「順次進行中心」ですので
音楽が自然とおさまりながら
大フレーズ全体が締めくくられます。
小フレーズD以外はすべて
フレーズ終わりの音が下行しているので
統一感が出てきています。
このように見ていくと、
各小フレーズ同士の関係にまで
細かくバランスがとられていることを
理解できますね。
だからこそ、
それらの結びつきが生まれて
有機的な大フレーズができるわけです。
小フレーズ同士の関係について調べることを
取り入れてみてください。
取りかかりはじめのうちは
「このふたつのフレーズは、問いかけと応答になっているな」
などといった
ざっくりとした見方のみでOKですので。
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