通し練習で暗譜が飛んでしまった場合、
一般的には
その部分を後から部分練習することで
とりあえずの不安を解消して先へ進もうとします。
この方法を繰り返すことで
暗譜の成功率は確かに上がっていきますが、
真の上達のためには
飛んでしまった経験を次の楽曲でも活かせるようにすることが重要です。
では、具体的にどうすればいいのでしょうか。
まず、あらゆる楽曲で暗譜が飛ぶたびに
以下のような点を詳しく分析してみてください。
◉ その時の心理状態はどうだったか
◉ 技術的な難所との関連はあるか
◉ 普段の練習でも不安を感じるところだったか
これらの分析を重ねることで、
自分にとって暗譜が飛びやすいところの傾向が見えてきます。
著名なピアニストであり教育者のセイモア・バーンスタインは
「心で弾くピアノ―音楽による自己発見」
著 : セイモア・バーンスタイン 訳 : 佐藤 覚、大津 陽子 / 音楽之友社
の中で次のように述べています。
度忘れの多くは、
指や手が大きな音程を移る時に起こるので、
5度あるいはそれ以上の音程は、
すべて必ず覚えるように。
(抜粋終わり)
実はこの傾向は筆者には当てはまりません。
暗譜が飛びやすいところの傾向には大きな個人差があるため、
自分特有のパターンを見つけることが重要。
そうすることで、
新しい楽曲を学習するときにも
要注意ポイントを事前に把握して
重点的に暗譜の確認ができるようになります。
「いざ暗譜が飛んだら、そこだけを覚えればいいのでは?」
と思うかもしれませんが、
暗譜というのは、
「普段は飛ばないけれど、まれに飛んでしまうところ」
などといった
「潜在的な危険なところ」がヤバイんです。
こういった部分というのは
弾き込みを長くやっているとはじめて顔を出すことも多い。
弾き込みをしたことが原因で発生したというより、
いずれ本番やら何かしらのタイミングで出てきてしまうもの。
だからこそ、
自分の傾向を把握して
適切な対策を立てたうえで次の本番に臨む必要があります。
◉ 心で弾くピアノ―音楽による自己発見
著 : セイモア・バーンスタイン 訳 : 佐藤 覚、大津 陽子 / 音楽之友社
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