フォーレが作曲した
「ノクターン 全13曲」の第8番と
「8つの小品 Op.84」の第8曲は
まったく同じ楽曲だと知っていましたか?
フォーレの「ピアノ作品全集」は
何人かのピアニストが発表しており
”全集” ですから
どちらの曲も入っているわけですが、
まったく同じ録音をコピー&ペーストして
使っているわけではありません。
(中にはそういうピアニストもいるかもしれませんが…。)
例えば、
ピアニストのジャン=フィリップ・コラールは
「8つの小品 Op.84」のほうの第8曲は
「ノクターン 全13曲」の第8番に比べて
かなりゆっくりとしたテンポで録音しています。
8つの小品の第7曲が
結構動きのある作品なので、
それとの対比を狙ったのでしょう。
逆に、
ノクターンは
第7番と第9番が
どちらもゆったりとした曲想なので
第8番を前向きのテンポで弾いたことは
プラスに働いています。
音楽的でもありますし、
純粋に全集全体で同じ作品を2パターン楽しめるわけです。
このテンポ設定が
必ずしも正解とはいいませんが、
実際のステージ演奏においても
並べて演奏するプログラムの選曲やテンポ解釈をしていく
参考にできます。
◉ どんなテンポで演奏するのか
という着眼点は
非常に重要なものとなります。
別の視点で考えてみましょう。
演奏会で
この2曲を演奏するとします。
多くの方が
急速なテンポで演奏時間も短い「エチュード Op.10-4」を先に弾き、
そのあとに
より内容の深い「バラード第2番 Op.38」を演奏するはずです。
もちろんそれでも良いのですが、
思い切ってプログラム順を逆にしてみるのはどうでしょうか。
長いほうの深い楽曲をきちんと披露してから、
テンポが速くパフォーマンス性もある短い楽曲をビシッと決める。
これもなかなか魅力的なステージになります。
「エチュード op.10-4」のテンポをできる限り速めに設定すると
なお良い演出になるでしょう。
フォーレとショパンの2例を挙げましたが、
いずれにしても
本番で並べて演奏するプログラムの選曲や解釈に
「テンポ」という観点でも
もっと意識を向けてみましょう。
今までとは一味異なるステージをつくり出せるはずです。
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