■「ハノン 第39番 全調スケール」独学する場合の注意点
♬ 楽譜に書かれている指遣いを守るべき理由
お使いの楽譜の「ハノン 第39番 ハ長調」を見てみましょう。
運指が書かれていますよね。
この運指は、必ず守ってください。
特にハノンのような練習曲というのは
「基礎練習」ですから、
練習自体が積み上がっていかなければ意味がありません。
ところが、
弾くたびに指遣いが変わってしまうと
その都度違った動きをすることになってしまい、
積み重なっていかないんです。
例えば、以下の2つの譜例を見比べてみてください。
「ハノン 第39番 ハ長調」の右手のみを取り出したもの
譜例(PD楽曲、Finaleで作成)
「親指を使う位置」が異なっていますが、
正直、どちらの運指でも演奏自体は可能。
しかし、
弾くたびにこれらが混在してしまうと練習の効率が上がらない。
自身の楽譜に書かれているほうの運指を使い、
たいへんでもそれを確実に身につけましょう。
そうすることで
基礎練習に「やる意味」をもたせられます。
「効率の良い練習」についてよく話題になりますが、
それは
「指遣いを徹底して練習すること」
と言えるでしょう。
♬ 「1の指(親指)」の音がとびでていないかチェック
1の指(親指)で打鍵するときに
その音が大きくとびだしがちです。
特に、
「上行形では右手」「下行形では左手」に注意。
親指が他の指の下をくぐった直後に打鍵するからです。
「ゆっくり練習するときから、親指を素早く、くぐらせること」
これを意識しましょう。
まずゆっくりのテンポで完全に身につけてから
はじめてテンポを上げましょう。
先ほども書いたように、
「基礎練習」では練習自体が積み上がっていかなければ意味ありません。
積み上げに必要なもう一つのポイントは、
「ゆっくりのテンポでできていないままテンポを上げない」
ということです。
♬ 左手だけで弾き「ICレコーダー」でチェックする
左手(左利きの方は「右手」)の音をきちんと聴けていますか。
両手で弾いていると
ごまかされがちで気づかないことも多いのですが、
利き手ではないほうの手だけで
完全になめらかに弾けるように練習することが必要です。
「ICレコーダー」で録音してみましょう。
オススメのICレコーダーについては以前に記事にしています。
必ずゆっくりのテンポからチェックします。
そして、
速いテンポでも凸凹せずに弾けるようにしてから
両手の練習へ戻ってください。
♬ カデンツの弾き方に注意
譜例(PD楽曲、Finaleで作成)
譜例のようなニュアンスをつけて
カデンツを弾いてしまう例は多く聴かれます。
「スタッカート」や「フェルマータ」をつけてしまっていませんか。
別にこのように弾いても
スケールの練習自体には差し支えありません。
しかし、ここで言いたいのは、
「基礎練習のときに ”楽譜を正しく読む” という部分を意識しておかないと、
実際の楽曲でも勝手に弾くクセがついてしまう可能性がある」
ということ。
♬ 何のために全調スケールを練習するのか考える
基礎練習で必要なのは、
「この練習は何のためにおこなっているのか」
という視点を常に持ち続けること。
例えば、特定の指を鍛えることだけを目的とするなら、
「第39番 全調スケール」よりも効果的な練習曲は
他にたくさんあります。
ここでは、
「実際の楽曲の中でスケールが出てきたときに対応できる力をつけること」
などを目的とするべきでしょう。
そうすることでハノンで練習しておいた経験が
はじめて活きてきます。
こういった対応力を含め、
「第39番 全調スケール」を練習する利点は
大きく以下の3つです。
◉ 「調号」「音階」など、楽典的な内容を実例で把握できる
◉ 学習段階の浅いうちに全調のサウンドへ触れることで耳が開く
【ピアノ】普段からスケールを練習していれば、楽曲で出てきたときに弾ける
Amazon著者ページ
https://www.amazon.co.jp/~/e/B0CCSDF4GV
X(Twitter)
https://twitter.com/notekind_piano
YouTube
https://www.youtube.com/channel/UCBeXKaDXKd3_oIdvlUi9Czg
筆者が執筆しているピアノ関連書籍に加え、
数多くの電子書籍が読み放題になるサービスです。
コメント