♬ ハノンの効果的な使い方を知りたい
♬ ハノンの練習がマンネリ化してきて練習方法に悩んでいる
♬ ハノンの練習における注意点を知りたい
このような希望や悩み、本記事で解決します。
本記事は、
Amazon kindleで販売している
という電子書籍の「前編」を無料公開したものです。(とはいえ、かなりボリュームがあります。)
教材の「内容」が気になる方も多いと思いますので、
実際に読んでみて「続きも読んでみたい」と思ったら、
Amazon kindleでの購入をご検討いだたけたらと思います。
■ハノンでこっそりとテクニックをあげよう
はじめに
注 : 本記事で譜例を取り上げている作品は
パブリックドメインになっている作品です。
出版社が独自につけたアーティキュレーションなど
権利に関わる部分は一切表示しておりません。
譜例はFinaleで作成したものです。
本記事では、
「ハノン」の効果的な使い方についてお伝えしていきたいと思います。
「いざハノン以外の楽曲を弾く時になったらまた指が動かなくなる」
きっとこういったことをお感じになったことがあるはずです。
近年は動画サイトで沢山のピアノ練習のノウハウが紹介されていますし、
ハノンは伝統ある曲集ですから、
すでにたくさんの方がその使用方法について解説されています。
そこで、ハノンの使い方に絞った本記事では、
大人の方が
「頭を使いながら練習できる」
という特権を生かしながら練習できる内容を重点的にまとめました。
著名なピアニストで
「ハノンをきっかけに現状突破した」
と公言している方は多くいらっしゃいます。
ハノンは使い方次第では「効率的に」テクニックをあげることが出来ますが、
頭を使って練習しなければ
ただのお腹周りは細くならないスポーツです。
普段のピアノの個人レッスンでは、
どうしても演奏発表会などの「披露用の楽曲」のために使う時間が多くなりがちです。
しかし、大人のあなたは日々本当に忙しいことと思いますから、
出来る限り効率よく基礎練習を行いたいですよね。
ピアノの先生に、
「あれ?○○さん、急に上手になったわね!」
なんて言われてみたくありませんか?
ハノンでこっそりとテクニックをあげるのです。
「基礎練習には時間をかけ過ぎなくても良い」というのが
基本的な考え方ですが、
その中で効率を上げていく方法を学びましょう。
記事の信頼性
筆者は、音楽大学の学部および大学院を作曲専攻で修了し、
修士号(音楽)を取得しています。
また、音楽大学および音楽専門学校での指導経験も豊富です。
■ハノンで力をつけるためのポイント7選
プロ野球選手の練習を見たことはありますか?
プロ野球選手の練習風景が
時々ドキュメンタリー番組などで放映されます。
また、近年はYouTubeにプロの選手が練習動画などを投稿するケースも増えていますね。
それらを見ていると多くの選手に共通点があります。
打者の場合、多くの選手が素振りから始め、
尚且つ、
ものすごくゆっくりの動作から始めてだんだんペースを上げていくのです。
これらを見たときに、
私はピアノのレッスンで同様のことを教えていると思いました。
ピアノでいうハノンは、野球で言えば素振りのようなエクササイズです。
とても地味な練習だとも言えます。
ハノンをいきなりものすごい速さで演奏し始める方もいますが、
多くの場合、テンポが速いだけで嘘ばっかり弾いています。
ゆっくりと、両手の音をしっかりと聴けるテンポから始めて、
「手はどれくらいあたたまってきたかな」
「修正課題のフォームを意識できているかな」
「昨日の練習の疲れがどれくらい残っているかな」
などと、自分に問いかける時間にします。
その上で、その日の後の練習メニューを考えるのです。
そして、確実に音が入るようになってからテンポを上げていきます(具体的な練習方法は後述します)。
プロ野球選手はなぜ素振りをするのか?
それは、単に打つ練習ではなく、
自分の悪いフォームなどの癖を確実に修正すると同時に、
自分の身体の不調な部分を確かめているのです。
それによって練習メニューを調整し、
効率を上げると同時にケガを避けています。
ピアノは野球に比べたら怪我をする可能性は低いですが、
何十年間も腱鞘炎にならずにピアノを弾いてきた方が、
ある日突然腱鞘炎になり慢性化してしまった例も多くあります。
永く楽しくピアノを続けていくためにも、
その日の練習のはじめはゆっくりとしたテンポから。
そして丁寧に自分と向き合う。
まずこれを念頭に置いてから次の項目を読み進めて下さい。
間抜きオクターブユニゾン練習法
「間抜きオクターブユニゾン練習法」
という方法をご紹介します。
ハノンを効果的に使用することで
様々なテクニック面での課題を克服することを目指せますが、
その内容もあって
「コンスタントに取り組むことが困難である」
といった一面ものぞかせています。
そこで、どなたでもすぐに実践できる
ハノンの一風異なる活用法としてあげられるのが、
という方法です。
例えばハノンの1番を弾くときに、
楽譜上より右手を1オクターブ上げた状態でスタートします。
上行型は楽譜通りだと2オクターブ上がってから下行型になりますが、
右手を1オクターブ上げた状態でスタートしている場合は
上行型、下行型共に1オクターブの上がり下がりのみで構いません。
この練習方法は、
「右手を1オクターブ上げることで左右の手で弾いている音が良く聴こえる」
という利点があります。
音域さえ考慮すればハノンの様々な練習番号に応用出来る方法です。
指のトレーニングは
ただ指を動かしているだけでは効果は上がりません。
左右の手で出している音がしっかりとしたものであるか
自分の耳で確認しながら練習をしていくことが
上達の必須条件です。
一番良くある例が、
利き手が上手く演奏できているために、
もう一方の手も上手く演奏出来ているように錯覚してしまうことです。
このような状態では一向に上達は見込めません。
音大教授直伝!「練習番号1番」の効果的な使い方
「ハノンの1番を全調で弾く(指使いは楽譜通りで)」
実はこれが意外と難しいのです。
原曲の楽譜はC-durで書かれていますが、
例えばこれを半音上げたDes-durで演奏する(開始音もDes)となると、
小指や薬指で黒鍵を打鍵する箇所がたくさん出てきます。
小指などは特に短いので初めは非常に弾きにくく感じます。
しかし、C-durの平らな場所(白鍵)のみで練習しているのではなく、
凸凹な場所を弾くことが指をトレーニングしていく際に欠かせません。
練習のポイントは、
(第1番の場合、)上行型の左手の運指は「54321234」というように、
指遣いはC-durの時のまま演奏するという点です。
これを全調で練習できればベストですが、
慣れるまでは、G-durやF-durなどの調号が少ないものからトライしてみると良いでしょう。
そして、先ほどご覧に入れた、
「右手と左手を1オクターブ離して弾いてみる」という方法も組み合わせるとベターです。
実際の楽曲になると、
前後関係などの兼ね合いで
このような弾きにくい指遣いをしなくてはいけないパッセージが
びっくりするほど沢山出てきます。
また、ある意味単調と言えるハノンの練習を続けるためには
モチベーションを維持していかなくてはなりません。
その際に、どのように練習方法にバリエーションを取り入れるかが大事なのです。
そういった意味でも本項の練習は効果的です。
・・・とは言いましても、
この練習方法をハノンの多くの曲でやっていたら時間がどんなにあっても足りませんし、
とりあえず第1番でのみおこなう練習としておいて良いでしょう。
【脱!】指を高く上げる非効率な練習法
教室へ習いに行っている方に質問です。
ハノンを練習をする際に、ピアノの先生から
「常に指を高くあげてはっきり発音して!」
などと言われたことはありませんか?
この練習方法を私はオススメしていません。
まず、「常に指を高くあげてはっきり発音する」方法の問題点は、
ハノンを「指を独立させてフォルテで速く動かす」ことにしか注目していない点です。
「音色」への関心も足りません。
しかし、実際の楽曲では、
「小さなダイナミクスでの柔らかく速いパッセージ」
も出てきます。
こういったパッセージでも
「不揃いにならずに狙った音色で演奏する技術」
を習得することもハノン練習での目標にしたいものです。
そうでないと、ただのスポーツになってしまいます。
まず私からのアドバイスは、
ピアノの練習でささやかれがちな
「ピアノを弾く時に手を常に卵型にする」という決まり文句を忘れることです。
傾向として、
「指を寝せ気味にして指の腹が多く鍵盤に触れるようにすると柔らかい音」
がします。(もちろん、打鍵の速度も関係しますが…)
つまり、音色まで気を使うなら、常に卵型ではなくて、
卵型も含めて色々な角度が必要になるのです。
もちろん、ハノンでは1曲の中で色々な音色を出すというわけではなく、
1曲の中では「1つテーマを決めて練習するのが良い」と思いますが、
いずれにしても、
「ピアノを弾く時に常に手を卵型にする」のが正しい基礎だと思い込むのは危険です。
それに、指を高く上げるほど指への負担が大きくなるばかりか、
今後もっと難しいパッセージが出てきたときに上達に行きづまります。
「聴いたところは何となくうまく弾けているけれども、すごく指がバタバタしている」
という状態は、
音大生など、一定の訓練を積んできた学習者にさえ見られる傾向です。
例えば、内容が高度になるので今回は割愛しますが、
本来は「鍵盤の戻る力をうまく利用する」ことも上級テクニックの中に入ってきます。
その際にも、「指を高くあげる」といった癖があると習得に苦労します。
さて、少し話が逸れてしまいましたが、
指を無闇に高く上げなくてもしっかり打鍵することはできます。
まずは、焦らずに「すごくゆっくりのテンポ」で自分の音を聴きながら練習することが重要です。
テンポをゆっくり練習することを、
私は「拡大練習」と呼んでいます。
焦って「縮小」して練習してはダメですよ。
基礎が入っていない状態で速く弾いても
嘘ばっかり弾いてしまって何も身になりません。
「ゆっくり弾く時と速く弾く時とでは使う筋肉が違う」ので、
速く弾かないと速く弾けるようにはならない。
しかし、ゆっくり音を入れることさえできていないままでやっては逆効果です。
とある著名なピアニストの練習を聴いた時に、
びっくりするほどゆっくりのテンポで練習をしていて驚いたことがあります。
ゆっくり拡大練習しても
音楽を横に引っ張っていこうという流れさえ自分の中に持っていれば音楽は停滞しません。
今回、どうしてこのように一般的なピアノ教育を取り上げてまで注意したかというと、
今後あなたがピアノを続けていき、
「練習が進んできた際に後悔する可能性がある」からです。
ピアノで「テクニックがある」という状態は、
指が速く動くということだけではありません。
出したい「音色」を確実に出せて、
フォルテの中にも様々な表情を作り出せ、その逆も然り、
それらを速いパッセージの時にも、
緩やかなカンタービレの時にも、
音がすっぽ抜けずに演奏できることです。
本来テクニックとは、
実際の楽曲の中で「こういう表現がしたい!」と思った時に
「そのためにはどういったテクニックが必要なのか」と考え、
後追いで生まれてくるものなのです。
それを、テクニックを単独で取り出して訓練しようとしているのですから、
せめて、自分の頭だけは機械にならずに
上記のことを念頭に置いて練習してみてください。
リズム練習は危険が伴う
ハノンの練習で、もう一つ気をつけるべきことは、
「リズム練習のおこない方」です。
ハノンでも一般的にリズム練習は推奨されていますが、
リズム練習では、リズムが寄っているせいか、
音価の長い音符に変な「アクセント」がついてしまっている状態になりがちです。
まず考えてみてください。
「何のためにリズム練習をするのですか?」
リズム練習をすることで、
それだけがきっかけで指が強くなるわけではありませんし、
リズム練習をすることで、
それだけがきっかけで指が速く動くようになるわけでもありません。
つまり、
「そのパッセージの応用練習」
であるのはもちろんですが、
同時に
「実際の曲で似たようなリズムが出てきた時のことを想定して練習すべき」
なのです。
実際の曲では、
変なところにアクセントがついていたら先生に注意されますよね。
何よりも弾いていて気持ちよくないですよね。
しかし、これをハノンだと平気でやってしまう学習者が多いのです。
また、リズムも
「正しいリズムで入っているか」
という観点を持って、自分の耳で良く聴かないといけません。
付点の練習なのにリズムが前に寄って3連符のようになってしまっていないか。
こういった、リズムを曖昧にしても気にならない癖がついてしまうと、
実際の楽曲でも無意識に付点を3連符のように弾いてしまいます。
これが独学の怖さでもあります。
前項の、「【脱!】指を高く上げる非効率な練習法」でも共通することなのですが、
ハノンなどを練習する時に一番気をつけないといけないのが、
これを防ぐために自分の音をしっかり聴いて練習するためにも、
先ほどご紹介した、
「間抜きオクターブユニゾン練習法」と「リズム練習」を併用するのは効果的です。
私自身、
メトロノームでの練習には賛否両論で
必ずしも推奨しているわけではありませんが、
リズム練習ではその練習目的も踏まえた上で
メトロノームを取り入れてみてください。
オススメの使い方は、
テンポを上げていく際にも、
「4」や「5」など、決まった数字をひと単位として上げていくのです。
こうすることによって、
「ちょっと速いな」という段階に達した時に、
「先ほどあげた分だけ元に戻す」
といったことが可能になり、
適当に上げ下げするよりもずっと練習を管理しやすいはずです。
ハノンでの練習メニューの作り方
これについては、以前に記事にしています。
という記事の、
「③基礎練習には時間をかけ過ぎなくても良い」
という項目をご覧ください。
ハノンを辞書のように使う練習法
「何が基礎で」
「何を習得したら基礎を一通り学んだことになるのか」
こういったことを考えていく上で、
「ハノンを辞書のように使う」ということが役に立ちます。
時間がある時にハノンをペラペラと眺めて、
ハノンにどんな練習項目があるのか把握しておく。
例えば、「トレモロ」「トリル」「スケール」「半音階」「アルペジオ」「3度」「6度」「オクターブ」「同音連打」「5本の指の平均的な基礎練習」等々。
そして、いずれ自分が練習している実際の楽曲の中で特定のテクニックにつまづき、
強化したい部分が出てきた時に、
「楽曲からテクニックを逆算」してハノンという辞書をひき、練習する。
つまり、「ハノンで”何ができるか”わかる」というところさえクリアしておけば、
全部を闇雲に練習したり暗譜したりする必要はないんです。
まずは、「こういった練習項目がある」ということを把握しておき、
必要な時にハノンという辞書をひけるようにしておけばOK。
それができるのがハノンです。
各テクニックが項目ごとにこんなに徹底されて管理されている教本は数少ないのです。
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「【続編】大人のための欲張りピアノ 絶対に上達するハノンの練習法!」
では、本記事の内容からさらに踏み込んだ解説をしています。
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