注 : 本記事で譜例を取り上げている作品は
パブリックドメインになっている作品です。
出版社が独自につけたアーティキュレーションなど
権利に関わる部分は一切表示しておりません。
譜例はFinaleで作成したものです。
楽譜に書かれている指遣いを守るべき理由
お使いの楽譜の「ハノン 第39番 ハ長調」を見てみましょう。運指が書かれていますよね。
これは、必ず守ってください。
特にハノンのような練習曲というのは「基礎練習」ですから、練習自体が積み上がっていかなければ意味がありません。
ところが、弾くたびに指遣いが変わってしまうと練習のたびに違った動きをすることになってしまい、積み重ねになっていかないのです。
例えば、以下の2つの譜例を見比べてみてください。
(「ハノン 第39番 ハ長調」の右手のみをとりだししたもの)
正直、2種類のどちらの運指でも演奏自体は可能です。
「親指を使う位置」が異なっています。
ただ、弾くたびにこれらが混在してしまうと練習の効率が上がらないのです。
ご自身の楽譜に書かれている方の運指を使い、
少し大変でもそれを確実に身につけることが重要です。
それが基礎練習に「やる意味」を持たせます。
「効率の良い練習」についてよく話題になりますが、
それは、
といえるでしょう。
1の指(親指)の音がとびでていないかチェック
1の指(親指)で打鍵するときに、その音が大きくとびだしがちです。
特に、
「下行形では左手」
に注意。
親指が他の指の下をくぐった直後に打鍵するからです。
練習ポイントはコレ。
まずゆっくりのテンポで完全に身につけてから初めてテンポを上げます。
先ほども書いたように、
「基礎練習」では練習自体が積み上がっていかなければ意味がありません。
積み上げに必要なもう一つのポイントは、
ということです。
左手だけで弾き「ICレコーダー」でチェックする
左手(左利きの方は「右手」)の音をきちんと聴けていますか?
両手で弾いているとごまかされがちで気づかないことも多いですが、
利き手ではない方の手だけで完全になめらかに弾けるように練習することが必要です。
「ICレコーダー」で録音してみましょう。
オススメのICレコーダーについては以前に記事にしています。
必ずゆっくりのテンポからチェックします。
そして、速いテンポでも凸凹せずに弾けるようにしてから両手の練習に戻ってください。
練習のポイントは、
これに限ります。
はじめのうちはコントロールが難しいかもしれませんが、
慣れてしまえばとても効率の良い打鍵方法となります。
指を高く上げすぎてしまうと、
テンポを上げたときに間に合わないだけでなく、音の粒もそろいません。
指を動かすだけでなく、こういった細かなところを見直すのが「テクニックの見直し」です。
カデンツの弾き方に注意
譜例のようなニュアンスをつけてカデンツを弾いてしまう例は多く聴かれます。
「スタッカート」や「フェルマータ」をつけてしまっていませんか?
別にこのように弾いてもスケールの練習自体には差し支えありません。
ただ、ここで言いたいのは、
ということです。
実際の楽曲では表現にも幅があり演奏者の解釈で弾くことは問題ありませんが、
楽譜に書かれていることを知っていて自由に弾くのと、知らないのとでは大きな違いがあります。
極端な例ですが、
グレン・グールドは一時期の演奏では非常に楽譜に忠実に弾いています。
差別化のために突拍子もないことをやっているのではなく、
基本を知っていた上で出てくる彼の個性的な演奏なのです。
なんのために全調スケールを練習するのか考える
基礎練習で必要なのは、
という視点を常に持ち続けることです。
例えば、特定の指を鍛えることだけを目的とするなら、
「第39番 全調スケール」よりも効果的な練習曲は他にたくさんあります。
ここでは、
を目的とするべきでしょう。
そうすることでハノンで練習しておいた経験がはじめて活きてきます。
Amazon kindleで販売している、
「【続編】大人のための欲張りピアノ 絶対に上達するハノンの練習法!」
では、ハノンについて踏み込んだ解説をしています。
応用練習の方法なども公開していますので、
ぜひ参考にしてみてください。
Amazon著者ページ
https://www.amazon.co.jp/-/e/B08MVMPNMT?ref_=pe_1206512_179741122
Twitter
(ピアノの効率的な練習法や、楽曲解釈などお役立ち情報を発信中。)
https://twitter.com/notekind_piano
Youtube
https://www.youtube.com/channel/UCBeXKaDXKd3_oIdvlUi9Czg
コメント