音楽にとって「出だし」が重要なのは、
出だしの音の出し方によって
その演奏の
◉ テンポの基準
などが決まってしまうからです。
演奏でも「終わり良ければすべて良し」と言われることがありますが、
それって「ミスタッチ」のことしか頭にないのではないか…
と思ってしまいます。
先ほども書いたように、
「はじまり」の出方で「テンポや音色の基準」が決まってしまうので、
「終わり良し」にしたければ、
せめて「はじまりも良し」にしないといけません。
具体例を挙げます。
楽曲が変わっても基本的な考え方は応用できます。
譜例(PD作品、Finaleで作成、曲頭)
この曲は最初が肝心。
1拍目が休符で両手ともに音がありませんね。
「この休符のとり方でテンポが決定してしまう」のです。
弾き始める前にテンポを考えてから始めないといけません。
音源で聴くと最初が休符だとは分かりにくいですが、
9/8拍子という拍子を表現するためには、
この8分休符のとり方が大きなポイント。
「イチ」の感覚をしっかり持って、
しかし音楽的にさりげなく休符をとります。
自分が指揮者になったつもりで、
体内で「イチ」の「ザッツ」をとります。
(もちろん、頭を揺すぶって数えてはいけません。)
別のやり方による「曲の出始め」として、
「曲頭がアウフタクトで始まる曲」
というのも注意が必要。
(ショパン「ノクターン 第2番 op.9-2」など、いくらでも例がありますね。)
たったひとつの音が鳴っただけでは、
聴き手はテンポがわかりません。
その後にもうひとつの音が鳴ることで、
「音と音との到達時間の差」ができて、
まだ完全ではありませんが
「テンポの最小単位」になりますね。
これを踏まえるとアウフタクトの重要性がわかるはず。
今回の内容は、
理解がやや難しかったかもしれません。
しかし、音楽の基礎として非常に重要な考え方です。
今回紹介した「テンポ決定」のことなどを
さらに深く学びたい方は、
《「新版 楽式論」石桁真礼生 著 音楽之友社》
を参照してみてください。
この書籍は、
筆者が今までで「買ってよかった」と思った音楽書籍の
ベスト5に入る良書。
「いますぐ使える小技」
というよりは、
「音楽を根本から理解し、総合的な力をつけるためのバイブル」
といったところでしょう。
書籍レビューも書いています。
ピアノ演奏に活かせる!参考書「楽式論(音楽之友社)」レビュー
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