ピアノ演奏に活かせる!参考書「楽式論(音楽之友社)」レビュー

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本記事では、
ピアノ学習者にも必須の音楽参考書
「楽式論  石桁真礼生 著(音楽之友社)」
について解説しています。 

 

ピアノ演奏に活かせる!参考書「楽式論(音楽之友社)」レビュー

♬ 書籍「楽式論」とは

 

書籍「楽式論」とは、

今から70年以上前「1950年」に発行された、

一言でいうと「音楽の成り立ちを深く理解するための参考書」です。

「アカデミックな作曲を学ぶ学習者で読んだことがない人はほぼいない」

というほど有名な歴史ある名著です。

一方、

この書籍は「ピアノ演奏」をはじめ

「楽器演奏」をする方にとっても非常に有益。

その有益さも合わせてこれから紹介していきます。

 

ボリュームは「328ページ」と充実しており、

「読破する」

というよりは

「項目を選んで学んでいく」

このようにするといいでしょう。

どの項目を選ぶべきかについても

本記事ではレベル別に紹介していきます。

 

本書は大きく「3つの編」に分かれています。

「第1編 楽節(音楽の諸形式を生み出すもととなるもの)」

では、

最も基本的な「音の進行がもたらすエネルギー」についてや、

「1小節単位」での細かな「部分動機」の成り立ちから解説され、

「8小節程度のカタマリ」の解説まで話が進みます。

これを理解すると、

いわゆる「メロディ」がどのように成り立っているのか

手に取るようにわかるようになります。

 

「第2編 基礎楽式」

では、

「1部・2部・3部形式」「変奏形式」「複合3部形式」「ロンド形式」「ソナタ形式」「フーガ形式」

の各項目について、譜例とともに徹底的な解説がされています。

 

よく聞くこれらの用語が実際にどのようなものなのかを理解し、

あまりに変則的な楽曲でなければ

自分ひとりで分析できるようになる力がつきます。

解説が非常にわかりやすいので、

作曲が専門の方でなくても理解していけます。

 

「第3編 応用楽式」

では、

「ロマンス」「ノヴェレッテ」「ワルツ(円舞曲)」「メヌエット」「セレナーデ(小夜曲)」

…など、

「楽曲としての形式」の解説がされています。

取り扱われている項目は他にも豊富で、

「弦楽4重奏曲ってなに?」

「交響詩ってなに?」

といった具合で、

網羅的に「一種の辞書」のようになっています。

一方、譜例付きで端的にわかりやすく解説されているので、

一般的な辞書よりも

音楽の理解に直結する知識が得られるでしょう。

 

♬ 著者「石桁真礼生」について

 

石桁真礼生 氏は、

1916に生まれて1996に亡くなった、優れた作曲家・教育者です。

多くの作品を発表する一方、

あまりにも有名な「黄色い楽典」の共著でも知られています。

 

♬【レベル別】読み始めるオススメ箇所

 

読者の音楽レヴェルの対象は「全レヴェル」です。

一方、

学習者の習熟度に合わせて

読み始める箇所をずらすといいでしょう。

 

まず、

「基本的な楽典の知識などもやや怪しい」という方は、

「第3編 応用楽式」の「2〜4章あたり」

から読み始めるのもアリです。

実は本書では、

「第3編に入る前にそれ以前の内容を理解しておくこと」

といった内容の注意書きがあり、

ほんらいでしたらそれを強くすすめたいところ。

しかし、

「基本的な楽典の知識などもやや怪しい」という場合は

難しく感じるかもしれません。

2〜4章あたりは、

「メヌエットとは、これこれこういうものであって…」

といったような具体的な解説ですので、

単独で取り出して読んでも理解できます。

 

一方、

「基本的な楽典の知識などは理解できている」

という方は、

あえて

「第1編 楽節(音楽の諸形式を生み出すもととなるもの)」

から読みはじめましょう。

内容としては非常に基本的ですが、

今まで考えたことがないであろうレヴェルまで

1小節単位で掘り下げて解説されているので、

音楽に触れはじめてある程度時間がたってから読み進めたほうが

理解が深まるでしょう。

 

実は、

この書籍の1番の核心

「第1編 楽節(音楽の諸形式を生み出すもととなるもの)」

にあります。

 

「部分動機単位での音楽の理解」「重心」「強小節、弱小節」

などといった、

とても大事なことであるにも関わらず

意識からとんでしまいがちな内容をしっかり学ぶことで、

◉ 演奏の際にどの音に重みを入れるか
◉ 演奏でエネルギーを抜くべきところ

などが明確に解釈できるようになります。

ピアノ演奏に活かせるようになるのです。

それも、

ただ単に何回もさらっているだけでは気づかない部分です。

 

この部分の理解がごっそりと抜け落ちてしまっている学習者が、

ある程度上達した方にも非常に多い印象。

先ほど、

「音楽に触れはじめてある程度時間がたってから読み進めた方が理解が深まる」

と書いたのは、

こういった部分を読み取るのが

ややレヴェルを要するからなのです。

 

♬ この書籍のオススメポイント

 

◉ 筆者の専門性が信頼できることと、
発行から70年たっても名著であり続ける書籍の歴史が物語る信頼性

◉「具体的にわかりやすく」解説されているので、
独学でもムリなく音楽を理解できるようになること

◉ メロディの細かな成り立ちをみることに加えて、
音楽を大きく捉えた「形式」にまで内容がおよぶので、
これ一冊で網羅的に楽式について学べること

 

♬ この書籍のウィークポイント

 

◉ 70年以上前の書籍であるため、言葉の使い方がやや固く、
学習者によっては読みにくく感じる可能性があること

◉ やや値段が張ること

 


 

いかがだったでしょうか。

この書籍は、

筆者が今までで「買ってよかった」と思った音楽書籍の

ベスト3に入る良書。

「いますぐ使える小技」

というよりは、

「音楽を根本から理解し、総合的な力をつけるためのバイブル」

といったところでしょう。

「買ったら一生モノ」の絶対的な自信を持ってオススメする書籍です。

 

 


 

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