これから
2種類の似た曲面を取り上げて
それぞれの表現の違いを見ていきます。
バルトーク「ミクロコスモス第4巻(97~121)109番 バリ島から」
譜例(PD作品、Finaleで作成、曲尾)
まず用語の確認をしておきましょう。
「Prol. Ped」は
「ソステヌートペダルを使う」という意味。
ソステヌートペダルを使うことで、
付点2分音符の音は
手で押さえていなくても
ダンパーペダルを使わなくても
伸ばしたままにできます。
したがって、
スタッカートの音は
ダンパーペダルが影響していない
ほんとうの意味でのスタッカートの音で響かせることができます。
オーケストラで考えると
スタッカートの音は
弦楽器のピッツィカートか
木管楽器の軽いひと吹きといったイメージ。
ここまで理解ができたら
次の譜例と比較してみましょう。
譜例(PD作品、Finaleで作成、曲尾)
先程の例と似ていますね。
他の音が伸びている中で
テヌートの書かれた音が鳴る。
一方、
先程とは大きな違いがあります。
「ソステヌートペダルを使わずにダンパーペダルを使う」
ということ。
したがって、
テヌートの書かれた4分音符は
ダンパーペダルで伸ばされることになります。
先程の例のように
ビッツィカートのようなサウンドではなく、
ハープでアルペッジョをしたような
「空間的なサウンド」を求められているのでしょう。
ふたつの例を取り上げました。
こういったものを学習することで
ペダリングによって
まったく意味の異なる別の表現がでてくることを知り、
それらの表現を使い分けられるようになっていただきたいと思います。
バルトークの例は、
作曲者がソステヌートペダルを使うように指示しているので
解釈に迷いませんでした。
ドビュッシーの例は、
あまりにも有名な楽曲で解釈が定着しているので
ソステヌートペダルを使うという解釈は
考慮外でした。
しかし、
私達が取り組んでいく数多くの作品の中には
作曲家がペダル指示にはノータッチで
なおかつ、
一定の解釈が定着するほどには知られていない作品もたくさんあります。
演奏者が引き出しを活かして
目の前の楽曲に合わせて解釈をしていかなければならないのです。
そのためにも、
本記事のような具体例を
少しずつ自身の中にためていってください。
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