【ピアノ】音楽の方向性をきちんと見極めよう ~フェルマータ編~

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少なくとも力のある作曲家であれば
「ただ何となく長く伸ばしてほしい」
などという曖昧な理由で
フェルマータを書くことはありません。
音楽の方向性を見極める手がかりになるのです。

 

具体例を挙げます。

楽曲が変わっても基本的な考え方は応用できます。

 

チャイコフスキー「四季 12の性格的描写 10月 秋の歌」

譜例(PD楽曲、Finaleで作成、20-21小節)

譜例のフェルマータの意味合いとしては

「ここまで、エネルギーを落とさずにきてほしい」

という意図が強いでしょう。

だからこそ、

「一時停止」という意味のあるフェルマータが必要だということ。

つまり、

フェルマータがどこに書かれているかを調べることで

音楽の方向性を見極めることができるのです。

 

このフェルマータの前から

すでにエネルギーを弱めてしまっている演奏も耳にしますが、

それでは

フェルマータの書かれている意味が希薄になります。

 

少なくとも力のある作曲家であれば

「ただ何となく長く伸ばしてほしい」

などという曖昧な理由でフェルマータを書くことはありません。

必ず音楽のエネルギーと結びついた上で

ありとあらゆる表現が書かれています。

 

「フェルマータは、音楽の方向性を見極める手がかりになる」

この一言では

フェルマータが使われるすべての場面を説明することはできないでしょう。

しかし、

用途の一例としてはとても重要な視点ですので

ぜひ踏まえておきましょう。

 

【ピアノ】「テンポをゆるめず、一気に弾いてほしい」というサイン

という記事で取り上げた譜例は

フェルマータが

◉ エネルギーを落とさないでほしい
◉ テンポも落とさないでほしい

という両面の意図で使われていると考えられる例です。

本記事の譜例との違いを整理してください。

 


 

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この記事を書いた人
タカノユウヤ

ピアノ音楽(ピアノソロ、ピアノが編成に入った室内楽 など)に心惹かれ、早何十年。
ピアノ音楽の作曲・編曲が専門。
物書きとしては楽譜だけでなく文章も書いており、
音楽雑誌やサイトなどでピアノ関連の文筆を手がけています。
Webメディア「大人のための独学用Webピアノ教室」の運営もしています。
受賞歴として、第88回日本音楽コンクール 作曲部門 入賞 他。

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