後踏みをせずに
打鍵と同時にダンパーペダルを踏み込み
リズムを強調するペダリングがあり、
これを「リズムペダル」と呼びます。
リズムペダルは
どういったときに使われるのでしょうか。
具体例とともに
代表的な取り入れ方を3つ挙げます。
例1
モーツァルト「ピアノソナタ ニ長調 K.311 (284c) 第3楽章」
譜例(PD楽曲、Finaleで作成、曲頭)
2小節目のペダル記号を書き入れた部分を見てください。
とうぜん、スラー終わりの音は
大きく尻もちをついたようにならないよう
控えめにおさめるわけですが、
そのニュアンスのサポートとして使えるのがリズムペダル。
譜例のように
発音と同時にペダルを踏むことで
重みを入れたい部分(↓)に倍音が追加され
ややダイナミクスが上がります。
そして軽く弾きたい音を発音するときに上げるようにする。
このようにすると、
手での表現をサポートする効果があり
求めているニュアンスへ近づけることができます。
例2
譜例(PD楽曲、Finaleで作成、16-20小節)
ワルツの伴奏部分では
さまざまなペダリングが考えられますが、
譜例のように
「1拍目で踏んだものを2拍目で上げる」
というのは代表的なもの。
バスが弾かれる1拍目にペダルによる倍音が追加されるので
3拍子の拍感覚をはっきりと表現することができます。
「それだったら、ペダルに頼らずとも強く弾けばいいじゃないか」
ということになりそうですが、
必ずしもそうではなく
手での表現のサポートとして
ペダルによる倍音付加が活きるわけです。
このやり方を
ライマー・リーフリングなどは
「拍子ペダル」
という言い方もしています。
例3
ベートーヴェン「ピアノソナタ第14番 嬰ハ短調 作品27-2 月光 第3楽章」
譜例(PD楽曲、Finaleで作成、曲尾)
アクセントを付加するペダリングであり
短く強く打鍵する音に対して
同時にチョンと踏むことで
印象的でかつ、余韻の残る響きにすることができます。
このやり方を
ライマー・リーフリングなどは
「スタッカティッシモペダル」
という言い方もしています。
上記の3つの例は、
どれも直前に休符や音の切れ目があるので
発音と同時に踏んでも問題が起きにくいことに
注目しましょう。
直前の音響をペダルで拾ってしまう可能性を
避けることができているんです。
◉ ピアノ ペダリング(ライマー・リーフリング 著/佐藤 峰雄 訳 ムジカノーヴァ)
Amazon著者ページ
https://www.amazon.co.jp/~/e/B0CCSDF4GV
X(Twitter)
https://twitter.com/notekind_piano
YouTube
https://www.youtube.com/channel/UCBeXKaDXKd3_oIdvlUi9Czg
筆者が執筆しているピアノ関連書籍に加え、
数多くの電子書籍が読み放題になるサービスです。
コメント