【ピアノ】楽譜に書かれていないオクターブバスの追加例

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楽譜通りではなくなってしまったとしても
割とおこなわれる変更があり、
そのひとつが「オクターブバスの追加」です。

 

クラシック音楽では

楽譜に書かれていることは変えないのが原則。

一方、

あえて変えて弾くことも

ゼロというわけではありません。

 

例えば、

書かれているよりも

もっと深く響くバスの響きがほしいときに

オクターブ下のバスを追加する例は

割と見受けられます。

 

クリスチャン・ツィメルマンは

ショパン「バラード第2番 op.38」

の演奏で

下方にオクターブバスを追加して録音しています。

 

譜例(PD楽曲、Finaleで作成、69-71小節)

( )で示した音が追加された音。

ここは前半部分のヤマであり

バスをしっかりと響かせたかったのでしょう。

 

作曲当時の楽器の音域が足りなくて

書かなかったわけではありません。

この作品を作曲したときにショパンが使っていたピアノでも

譜例の( )で示した低いFes音は

出すことができたとされています。

 

この解釈は

作曲家の意図を無視したことになるのかと言えば、

奏者の解釈として許される範囲だと考えます。

音楽の内容を大きく変えたというよりは、

ショパンが書いたエネルギーの方向性を強めたに

過ぎないからです。

 

もう一例を見てみましょう。

 

ピアノペダルの使い方」(笈田光吉 著  音楽之友社)

という書籍にヒントがあります。

シューマン「謝肉祭 1.前口上」
譜例(PD作品、Finaleで作成、106-109小節)

(以下、抜粋)
この例で知らなければならないことは、
バスのesの音をできるだけ強く最上の効果を欲するならば、
左手の下に音をつけてオクターヴとし、
右手は左手の上のオクターヴの音を一つ、
合計両手で三つのes音を弾くのがよいということである。
一般にバスの音すなわち根音、あるいは和音が強ければ強い程、
その上に、ペダルを踏み代えずに、沢山の音を弾くことができる。
(抜粋終わり)

 

譜例の( )で示したふたつが

上記で追加されてもよいと言われている音。

 

このように

3音の2オクターブでバス音を弾くやり方は

数名の作曲家が

追加ではなく ”書き譜として” 取り入れています。

非常に太く深い音がするので、

弾いている楽曲において

求める表現に必要だと思ったら

上記譜例のように追加してみるのもアリでしょう。

 

ただし、

無闇に変更してしまうのではなく

「こういう意図で変更した」

としっかりと言葉にできるくらいの理由とともに

変更してください。

 

◉ ピアノペダルの使い方(笈田光吉 著  音楽之友社)

 

 

 

 

 

 


 

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この記事を書いた人
タカノユウヤ

ピアノ音楽(ピアノソロ、ピアノが編成に入った室内楽 など)の魅力にとりつかれて、早何十年。
ピアノ音楽の作曲・編曲が専門。
物書きとしては楽譜だけでなく文章も書いており、
音楽雑誌やサイトなどでピアノ関連の文筆を手がけています。
Webメディア「大人のための独学用Webピアノ教室」の運営もしています。
受賞歴として、第88回日本音楽コンクール 作曲部門 入賞 他。

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