注 : 本記事で譜例を取り上げている作品は
全てパブリックドメインになっている作品です。
出版社が独自につけたアーティキュレーションなど
権利に関わる部分は一切表示しておりません。
譜例はFinaleで作成したものです。
スタッカートのテクニックは、
レガート奏法などと同様に「楽曲の前後関係」などでもテクニックが変わるので、
「これだけやれば完璧!」
などといった攻略法はありません。
ただ、普遍的な部分についてのアドバイスをすることはできます。
スタッカートに関する基本的なテクニック
まず、「スタッカート」について、基本的な事項を解説していきます。
以前に次のようなツイートをしました。
そして、体のどの部位を使うかが重要。
楽曲によっては、これらを組み合わせないと演奏しにくいパッセージなどもでてきますので、
この分類を覚えておきましょう。
では次に、これら3つの奏法の使用例をみていきましょう。
「指を使用したスタッカート」(「速い動き」などで)の使用例
次の譜例を見てください。
シューマン「謝肉祭 15.パンタロンとコンビーヌ」1-2小節目
こういった速い連続スタッカートは、
「腕を使用したスタッカート」では弾けません。
「指を使用したスタッカート」を中心に使用して演奏します。
テクニックポイントは、
「鍵盤の近くからなるべく少ない動きで打鍵する」
ということです。
指を大きく上げてバタバタさせてしまうと、
「指を使用したスタッカート」の場合は演奏しにくい上に、テンポも上がりません。
「手と指を使用したスタッカート」の使用例
これは非常に多くありますが、一例として次の楽曲を見てください。
ドビュッシー「パスピエ」1-2小節目
テンポは「Allegro ma non troppo」で、「8分音符」の動きですので、先ほど例に挙げた、シューマン「謝肉祭 15.パンタロンとコンビーヌ」よりは、動きに余裕がありますね。
こういった条件では、「手と指を使用したスタッカート」(通常)がいいでしょう。
「手」はもちろん、「肩」や「肘」をボルトのように締めたまま弾かないことが大事です。
「腕を使用したスタッカート」の使用例
次の譜例を見てください。
モーツァルト「ピアノソナタ K.545 第3楽章」72-73小節目
72小節目は、ヘンレ版ではスタッカートがついていませんが、
解釈版などではついているものも多く見られますし、
慣例としてスタッカートで演奏します。
こういった、「一つ一つ重みを持って弾いていく曲尾」などでは、
「腕を使用したスタッカート」(「キメ」など、「強く」且つ「細かくない動き」などで)
が効果的に使える局面が多くあります。
この場合にも、
「上から叩かずに鍵盤の近くから押し込むように打鍵する」
というのがポイント。
上から叩くと音が散らばってしまいます。
今回はスタッカート奏法の基礎の「キ」だけまとめました。
実際にはまだまだ奥深く、
「楽曲に合わせたスタッカートの短さの決定」
「作曲家がスタッカートを書く様々な理由の理解」など、
基礎の「ソ」が残っています。
Amazon kindleで販売中の
「大人のための欲張りピアノ[スタッカート徹底攻略法-基礎と応用-] 」
では、最初に「基礎編」としてのまとめを掲載し、
その後に「応用編」として、
モーツァルト、ベートーヴェン、メンデルスゾーン、ショパン、グリーグ、ドビュッシー、ラフマニノフなどの名曲の中から、
「スタッカート」の知識として有益な箇所を解説とともにご覧に入れています。
さらに学びたい方は是非手に取ってみてください。
Amazon著者ページ
https://www.amazon.co.jp/-/e/B08MVMPNMT?ref_=pe_1206512_179741122
Twitter
(ピアノの効率的な練習法や、楽曲解釈などお役立ち情報を発信中。)
https://twitter.com/notekind_piano
Youtube
https://www.youtube.com/channel/UCBeXKaDXKd3_oIdvlUi9Czg
コメント