【ピアノ】ソナタは全楽章を見通してテンポ設定を

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ソナタはトータル演出をすべき音楽です。
詳しくは、本記事をご覧ください。

 

ピアノソナタなどの多楽章による楽曲を弾く場合、

単独の楽曲を弾くのとは違った注意点もでてきます。

 

各楽章間の性格の違いを読み取ったうえで

それぞれをどう表現するのか。

「音色」「アーティキュレーション」など

キャラクター表現ひとつとっても

さまざまな視点がありますが、

もっとも基本的かつ注意すべきものは、テンポ設定。

 

多くの古典派のソナタにおける

第1楽章と最終楽章のように

急速な楽章はたいてい複数含まれています。

まずは、これら同士のテンポの違いを調べてください。

 

例えば、

第1楽章が allegro moderato

最終楽章が presto の場合は、

急速楽章同士にも

テンポおよび、そこからくるキャラクターの違いがあります。

 

そこまで考えず、

無意識のうちに

「どちらも弾けるだけ速いテンポで弾こう」

などと考えてしまっていませんか?

 

急速楽章同士はもちろん、

全楽章のテンポについても調べてみましょう。

 

テンポに関して

もうひとつ考えておくべきなのが、

テクニック面でのテンポのコントロールについて。

 

例えば、以下のような傾向はよく聴かれます。

◉ 緩徐楽章は、音は弾けてしまうので速くなりがち
◉ 急速楽章は、弾くのが忙しくて遅くなりがち

 

このように両端が圧縮されてしまう場合、

全楽章の視点でとらえると

テンポ表現が平坦に聴こえてしまいますので

注意しておきましょう。

テクニック面をクリアするのは

一朝一夕にはいきませんが、

事実を理解しておくことは必要です。

 

2つの注意点を取り上げました。

◉ テンポは、他の楽章も踏まえて設定する
◉ テクニック面でテンポの両端が圧縮されがち

これらのことは

必ず頭に入れておいて下さい。

 

仮に第1楽章しか学習しないとしても

いったん全楽章の楽譜をながめてみる。

そして、

それぞれのテンポについて調べてみることで

第1楽章のテンポを決める参考にもしていく。

 

フレーズごとのニュアンスが「木」だとしたら、

ひとつの楽章は「森」。

全楽章で「地域」でしょうか。

「地域」の特徴を知った上で、「木」を育む。

そうすることで、

その地域に根ざす「森」が出来上がります。

そんなイメージを持ってみましょう。

ソナタはトータル演出をすべき音楽です。

 

 


 

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この記事を書いた人
タカノユウヤ

ピアノ音楽(ピアノソロ、ピアノが編成に入った室内楽 など)に心惹かれ、早何十年。
ピアノ音楽の作曲・編曲が専門。
物書きとしては楽譜だけでなく文章も書いており、
音楽雑誌やサイトなどでピアノ関連の文筆を手がけています。
Webメディア「大人のための独学用Webピアノ教室」の運営もしています。
受賞歴として、第88回日本音楽コンクール 作曲部門 入賞 他。

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