フェルマータをどれくらい伸ばすのかについては
参考書によって
さまざまな見解がありますが、
あらゆる演奏家の解釈からもわかるように
結局のところ、唯一の答えはありません。
つまり、
その作品の内容から考えて
演奏家が判断していかないといけないということです。
フェルマータ、
特に曲尾のフェルマータにおける長さの決定にとって
いちばん指針となるのは
「テンポ」と「曲の規模」でしょう。
曲の規模がかなり小さいにも関わらず
曲尾のフェルマータで伸ばしすぎたら
お尻ばかりが大きなバランス性を欠いた作品
に聴こえてしまいます。
反対に、
長大な作品であまりにもサラッと終わってしまったら
頭でっかちで
聴き終わった後の満足感もイマイチ。
極端な例を挙げるので、想像してみてください。
テンポは Andante と決まっているうえで
「たった3小節の作品を作曲する」
という課題を出されたとします。
もし仮に、
「3小節目は全声部全音符で、しかもフェルマータ付き」
という内容にしたらどうでしょうか。
成立はしますが
言うまでもなくバランス性に欠きます。
3小節目がまるまる全音符という時点で
単純計算、33%が伸ばし。
さらにフェルマータもつけられるので
楽曲全体の40%~50%が伸ばし
ということになってしまいます。
こういった規模では
たいしてフェルマータをやらないほうがいいですし、
そもそも
「最後の小節はまるまる全音符でいいのか」
というところから再検討する必要さえあるでしょう。
単純にフェルマータのところだけを取り出して聴いてみて
美しくできていると
こういうことを結構平気でやってしまうのです。
演奏でも同じ。
作曲家がすでに書き残したフェルマータを
どの程度表現すべきかというのは
楽曲全体を見たうえで判断しましょう。
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