【ピアノ】テンポをゆるめるべきではないところ ~J.S.バッハの作品を例に~

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アゴーギクとしてテンポを動かすことも含めて
rit. すべきでないところというのは
これまでにも何度か記事にしてきました。
今回はJ.S.バッハの作品を例に
さらなる例をご紹介します。

 

具体例を挙げます。

楽曲が変わっても基本的な考え方は応用できます。

 

J.S.バッハ「平均律クラヴィーア曲集 第2巻 第2番 BWV 871 ハ短調 より フーガ」

譜例(PD楽曲、Finaleで作成、曲尾)

 

最後の2小節は「エンディング」です。

J.s.バッハのあらゆる作品を思い出してみてください。

このような「”ごく短い” エンディング」がついている作品が

たくさん思い浮かぶはずです。

 

演奏上の注意点としては、

このエンディングへ入るときに rit. をしないこと。

黄色マーカーで囲ったところです。

 

どうしてなのか想像できますか。

「楽曲のいちばん最後のことも視野に入れないといけないから」

これが理由です。

通常、楽曲のいちばん最後の終止では

テンポをゆるめますよね。

しかし、

短いエンディングなので

エンディングへ入るときにまでテンポをゆるめてしまうと

近々で2回も段落感がついてしまうのです。

最後の rit. を活かすためにも

その直前はサラリといく。

解釈として

どうしてもテンポをゆるめたいとしても

ほんの少しだけにしておく。

 

いいですか、

表現は必ず全体で把握していかないといけません。

一部分だけを切り取ってそこが良くても、

もっと広い視野で見たときに

その部分のせいで他が活きなくなってしまうのであれば

良い解釈とは言えないのです。

 

「楽曲のいちばん最後のことも視野に入れて」

と解説した意味を

分かっていただけたでしょうか。

 

 


 

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この記事を書いた人
タカノユウヤ

ピアノ音楽(ピアノソロ、ピアノが編成に入った室内楽 など)に心惹かれ、早何十年。
ピアノ音楽の作曲・編曲が専門。
物書きとしては楽譜だけでなく文章も書いており、
音楽雑誌やサイトなどでピアノ関連の文筆を手がけています。
Webメディア「大人のための独学用Webピアノ教室」の運営もしています。
受賞歴として、第88回日本音楽コンクール 作曲部門 入賞 他。

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