以前から書いているように、
表現したいことがあってこそ
逆算的に必要なテクニックが生まれます。
しかし、
ブランク明けで
あまりにも指が動かなかったりすると
それ以前の問題ですよね。
最低限のテクニックは
多少機械的な練習を使ってでも
戻しておく必要があります。
テクニックという言葉には
「出したい音を出すための指先や身体の使い方」
なども含まれますが、
今回は「指を敏速に動かす」ということに
焦点をあてています。
ブランクの後にテクニックを取り戻すことは可能です。
しかし、
一定の努力が必要です。
一日で取り戻せるような魔法はありません。
筆者自身が実践して効果を感じた方法をご紹介しますので、
以下、やり方と注意点をみていきましょう。
■ブランクのあとにテクニックを取り戻す方法
♬ 何が理由で中断したのかを思い出すところからスタート
私が推奨するやり方としては
② 基礎練習を継続しながら、以前に得意だった一曲を一点集中で取り戻す
この2ステップです。
しかし、以前に中断した理由が
「コルトーやハノンが嫌だったから」
などと基礎練習が原因だったのだとしたら
「①」および「②の基礎練習部分」は省かなくてはいけません。
また中断することになってしまいますからね。
まず、
「何が理由で中断したのかを思い出す」
ここからスタートしましょう。
♬ 基礎練習で “両手” をバランスよくトレーニングし直す
基礎練習の教材は「コルトーのピアノメトード」を使いましょう。
こういったエチュードは
無闇にやっても効果は上がりません。
しかし、
内容を絞りに絞って適切に取り入れることで
カチンコチンの手に刺激を与えることができます。
コルトーを使ってこなかった方は、
ハノンを引っ張りだしてください。
コルトーのオススメの取り組み方は
「4本の指の練習-1本の指を持続(指の均一と独立)No.2a-2e」
これだけを使うことです。
(理由は、記事終わりにあるリンクを参照してください。)
また、
◉ 全調で弾く(指使いは同じままで)
この2点を取り入れます。
(これらの理由も、記事終わりにあるリンクを参照してください。)
ハノンを使用する場合は、「第1番」のみを使用します。
どちらを使うにしても、
ハジからぜんぶやり出すと
弾き終えることが目的になってしまいますので
あまり良いやり方とは言えないでしょう。
指の動きは
「筋力」だけでなく、
「頭の働き」が強く影響しています。
お酒を飲んだ後にピアノを触ってみると気づきますが
指が思うように動きませんよね。
同じ筋力を持っていても指の動きが鈍くなります。
したがって、
「ブランク前と同じくらい、頭を速い動きに慣れさせる」
この意識が必要です。
ゆっくりと確実に弾く練習から始めるのは当然として、
しっかりとテンポをあげるところまでやりましょう。
練習効果を「練習時間」で判断するのは適切ではありませんが、
2,3分で切り上げられても困るので
時間の大まかな目安を書いておきます。
・基礎練習を毎日最低でも30分
・まずは2週間継続する【ブランク前に中級レベルの学習まで到達していた学習者】
・基礎練習を毎日最低でも20分
・まずは2週間継続する
♬ 基礎練習を継続しながら、中断前に得意だった一曲を一点集中で取り戻す
ブランク明けの ”楽曲” への取り組みは
「中断前、もっとも得意だった楽曲を一点集中で取り戻す」
まずはここから。
これができるまで
新しい楽曲に手を出すのは我慢してください。
もっとも得意だった楽曲を使う理由としては、
解釈的なことはある程度クリアされているはずなので
音楽的な面についてはもちろん
テクニック面に焦点をあてて取り組めるからです。
また、
”楽曲” が一曲でも手元に戻ると
モチベーション的に前向きになれるのです。
ただし、
逆説的なことを言いますが
指が動くかどうかの結果を急ぎすぎないこと。
経験があると思いますが、
同じだけのテクニックを持っていても
新しく取り組み始めた楽曲よりも
つい先日まで弾きこんでいた楽曲の方が
指が動くように感じるのは当然。
ですので、
取り戻し始めて間もない楽曲では
判断できない部分もあるからです。
「ブランクを明けて短くて2-3週間程度で、ある程度テクニックが戻ってくれば良い」
このように考えて、
思い詰めない程度の気持ちで
ピアノへ向かうといいでしょう。
一度中断したからといって
楽曲を理解する力がゼロに戻るわけではありません。
「基礎練習」と「以前、おはこだった一曲」で
最低限のテクニックだけ戻したら
あとはとにかくたくさん “新たな楽曲” も練習してください。
そうすれば、
思っているよりも早い段階で
中断時点まで復帰できるはずです。
正直、ブランク明けでいちばん衰えているのは
音楽性ではなく、いわゆる「テクニック」です。
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