クレッシェンドやデクレッシェンドなどの
ダイナミクスの時間的変化に関しては、
ありとあらゆる問題が発生しやすいので注意が必要。
例えば、
◉ 変化を急いでしまい、音楽の方向性が見えにくくなってしまう
など。
解決策があります。
「ダイナミクスの途中経過を書き込む」
という方法。
(譜例)
例えば、
この譜例のように
mf から ff まで4小節間かけてクレッシェンドするのであれば
3小節目の頭に f と書きこんでしまう。
これをすることで
3小節目の頭で
すでに ff 近くまでふくらんでしまうのを
防ぐことができます。
書き込みのポイントは以下の2つ。
◉ mp と mf の間は「2段階」あると考える
♬ 必ずしも等分分割しなくてもよい
ひとつめのポイントは、
「必ずしも等分分割しなくてもよい」
ということ。
上記の譜例では
4つの小節のちょうど中間にダイナミクス記号を書いたので
「等分分割」でした。
一方、
仮に「後ろ寄りのクレッシェンド」にしたければ
等分分割にせず、
わざと後ろめにずらして書いておいて
後ろ寄りのダイナミクス変化を
視覚的にわかるようにするのもOK。
「非等分分割」ということ。
(譜例)
到達点のダイナミクスは決まっているので、
下の譜例の場合は
前半よりも後半のほうが
クレッシェンドする量が多くなりますね。
パッと見て捉えやすいように書き込んでいるわけですので
表現したい内容によって
このように多少書き込み方を変えてしまうこと自体は
問題ありません。
♬ mp と mf の間は「2段階」あると考える
もうひとつのポイントは
「mp と mf の間は2段階あるように捉える」
ということ。
「mp(少し弱く)」と「mf(少し強く)」の間って、
結構開きがあると感じませんか。
私は「mp と mf の中間」という意味で
勝手に「mp-mf」という記号を使っています。
「mpmf」でもいいですね。
という順番で強くなっていくと考えて
ダイナミクスの途中経過を書き込む。
このようにすることで
バランスよくダイナミクスを振っていくことができます。
ちなみに、
以下のような譜例は
あえて mp–mf を使わずにダイナミクスを書き入れてみた例です。
クレッシェンド、デクレッシェンドは
原曲に書かれているものです。
譜例(PD楽曲、Finaleで作成、1-10小節)
5-9小節に注目してください。
p から mp までよりも
mp から mf までのほうが
ダイナミクスの開きが大きい。
しかし、同じ2小節分でクレッシェンドするように書き込みました。
したがって、
“後ろ寄り” で大きくなるクレッシェンドを
表現できるようにしたわけです。
「小節を分割してダイナミクスを逆算して…」
などといった内容でしたが、
こういったやり方は決して
「機械的」「非音楽的」な学習方法ではありません。
ポイントのダイナミクス目安を書き込んだだけで
各ダイナミクス記号のあいだの表現は無限大。
割れるデジタルの世界ではありません。
アナログの世界なのです。
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もっと活かしていくためには
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ダイナミクス記号を書き込む位置を考えるヒントになります。
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