具体例で見てみましょう。
楽曲が変わっても基本的な考え方は応用できます。
譜例(PD作品、Finaleで作成、15-16小節)
この例は、「並行和音」ではなく、単純に「和音の連続」。
しかし、いずれも演奏注意点は似ており、以下の3点です。
② ただのカタマリになってしまわないように、右手のトップノートを多めに出すこと
③ 全体的に大きくなりがちなので、ダイナミクスに注意すること
① 音楽が縦割りにならないように、音楽を横に引っ張ること
これは、
和音の中にメロディが含まれている場合も、
そうでない場合(単純な伴奏 など)でも共通です。
和音の連続というのは
どうしても音楽が縦割りになってしまいがちです。
「音は正しく弾けているのに、音楽の流れが良くない」
という状態になりがちの代表例です。
「フレーズを大きく、音楽を横に引っ張る意識」
を持って演奏するだけでずいぶんと変わります。
一個一個の和音としてとらえずに、和音全体でとらえましょう。
② ただのカタマリになってしまわないように、右手のトップノートを多めに出すこと
もちろんこれは、
その和音のトップノートがメロディである場合のことです。
「和音のニュアンスや和声の聴こえ方を重視するために、トップノートを強調するのを良くないとする解釈」
もあります。
しかし、筆者の考えとしては、
「まずは、”メロディ” という大事な要素が埋もれないようにすること」
これが何よりだと思っています。
その後に、解釈上どうしても必要だと思えば少し調整すればいいのです。
③ 全体的に大きくなりがちなので、ダイナミクスに注意すること
(再掲)
これは、
和音の中にメロディが含まれている場合も、
そうでない場合(単純な伴奏 など)でも共通です。
和音の連続が出てくると
どうしてもダイナミクスがふくれ上がってしまいがち。
和音演奏のあるあるですので、
意識して修正するしかありません。
和音の連続を見つけたら、
「その音楽がどこに向かっているのか」
ということを必ず考えてみるクセをつけましょう。
それは「並行和音」の場合も同様です。
一例ですが、
ドビュッシー「前奏曲集 第1集 より 沈める寺」
こういった楽曲では、曲頭から並行和音が出てきますよね。
「並行和音」というのは
サウンドとしては聴きやすいですが、
調性としては「非常に不安定な状態」です。
必ず、
◉ その音楽がどこに向かっているのか
こういったことを譜読みで読み取らなくてはいけません。
「楽曲ごと、その箇所ごと」に把握したうえで
本記事で紹介した演奏注意点も意識してください。
そうすれば、
音楽の流れが止まったり、変なところで遅くしたり強くしたり、
などといった妙なことは起きなくなります。
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