【ピアノ】どうする?ニュアンスが不統一のオクターヴユニゾン

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本記事では、
演奏に迷いやすい記譜として
「オクターヴユニゾンのニュアンス不統一」
について判断方法を解説します。
細かなことですが、
上のレヴェルを目指すにあたっては
必ず踏まえておくべき内容となっています。

 

今回取り上げたいのは

次の譜例のようなケースです。

楽曲が変わっても基本的な考え方は応用できます。

 

ドビュッシー「サラバンド(ピアノのために 第2曲)」

譜例(PD作品、Finaleで作成、66小節目)

このように、

初版の下段では

「1拍目のスラー」「2拍目のテヌート」

が書かれていません。

 

判断のポイントは以下のようになります。

◉ 明らかに「省略」「抜け落ち」と判断できれば、統一して演奏する
◉「音色のための工夫」等と判断できるのであれば、楽譜通り演奏する

 

■ニュアンスが不統一のオクターヴユニゾン

♬ 明らかに「省略」「抜け落ち」と判断できれば、統一して演奏する

 

(再掲)

この譜例の場合は

明らかに「省略」「抜け落ち」と判断できるため、

統一して演奏すべきです。

 

他の版も比較してみたところ、

テヌートが書かれていないものと

校訂者によって補われているものがほぼ半々でした。

また、

このメロディは楽曲の中で何回か出てきますが、

他のところでは「スラー」「テヌート」が書かれています。

これらから判断すると

「明らかに省略されたか、抜け落ちた」

と判断できるでしょう。

 

この作品に限らず、

もし不統一のところがあったら

以下の2項目を検討してみましょう。

◉ 可能であれば、他の版を参照して比較する
◉ 同じ楽曲の似た音型の場所も調べて比較する

 

参考までに、

ニュアンス不統一の例ではありませんが

以下のケースも見てみましょう。

 

ドビュッシー「子供の領分 6.ゴリウォーグのケークウォーク」  

譜例(PD楽曲、Finaleで作成、1-4小節目)

3、4小節目の16分音符のように

「両段ともスラーが書かれていない場合」には

「抜け落ち」ではなく

「意図的」であると判断できますね。

つまり、ノンレガートです。

弾きやすくなるからといって

こういったところで勝手にスラーを補ってはいけません。

 

♬「音色のための工夫」等と判断できるのであれば、楽譜通り演奏する

 

例えば、次のような場合。

ドビュッシー「子供の領分 4.雪が踊っている」  

譜例(PD楽曲、Finaleで作成、22-25小節)

ここでは

ソプラノのメロディの2オクターヴ下で

バスもメロディを演奏しています。

音価だけでなくアーティキュレーションも不統一です。

 

言うまでもありませんが

これは明らかに

「音色のための工夫」

「長い息で歌うソプラノ」に対し、

「ペダルを使っていても手は切ることでポツポツした響きのバス」

をオクターヴユニゾンさせて

音色を作っています。

 

この例の他にも、

「片手はレガートでメロディ、もう片方の手はスタッカートでメロディ」

このようなオクターヴユニゾンも時々見られ、

やはり「音色のための工夫」と言えます。

省略や抜け落ちではありません。

 

オーケストラでも

「レガートのメロディに、切れるピチカートのメロディを足して音色を作る」

などといったことは

頻繁におこなわれます。

 

♬【まとめ】総合的なアドヴァイス

 

以下の2パターンについて解説してきました。

◉ 明らかに「省略」「抜け落ち」と判断できれば、統一して演奏する
◉「音色のための工夫」等と判断できるのであれば、楽譜通り演奏する

 

ここで、もう一点だけアドヴァイスをします。

 

あなたがこれからたくさんの楽曲を演奏していく中で

この2つのどちらでも解釈できるような

キワドイ箇所をもった楽曲に出会うこともあるでしょう。

その場合、

「おそらく作曲家のメッセージのはずだから…」

と思って

後者(楽譜通り演奏)にするのも一つの手ではあります。

一方、

「大きな問題が起きそうでなければ、前者(統一して演奏)にしておいたほうが得策」

ということを覚えておいてください。

なぜかというと、

ニュアンスが統一されていた方が

圧倒的に暗譜しやすくなるからです。

 


 

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この記事を書いた人
タカノユウヤ

ピアノ音楽(ピアノソロ、ピアノが編成に入った室内楽 など)の魅力にとりつかれて、早何十年。
ピアノ音楽の作曲・編曲が専門。
物書きとしては楽譜だけでなく文章も書いており、
音楽雑誌やサイトなどでピアノ関連の文筆を手がけています。
Webメディア「大人のための独学用Webピアノ教室」の運営もしています。
受賞歴として、第88回日本音楽コンクール 作曲部門 入賞 他。

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