【ピアノ】シューマンの2つの「狩の歌」:初級から中級まで楽しめる名曲ガイド
► はじめに
シューマンには「狩の歌」というピアノ作品が2作品あることをご存知ですか。
音楽性と華やかさをあわせ持ったピアノ小品をお探しの方に、これらの2曲を紹介します。初級者から中級者まで、それぞれのレベルで演奏を楽しめる珠玉の2曲です。
► ユーゲントアルバム Op.68-7 狩の歌
‣ 魅力とポイント
譜例(PD作品、Sibeliusで作成、曲頭)
まずは、ユーゲントアルバム(子どものためのアルバム)の中に入っている方の「狩の歌」。「小さな狩の歌」と呼ばれることもあり、発表会などでも頻繁に聴かれます。
わずか1分ほどの演奏時間ながら、クラシック音楽の醍醐味が詰まった作品であり、発表会でも映える3つの特徴があります:
1. 手の大きさを問わない技術設定
子供から大人まで、手の大きさに関係なく無理なく演奏可能。広い音程の和音は最小限(最大1オクターヴ)で、初級者でも安心してチャレンジできます。
2. 明確な強弱による表現力
ff と p の対比が効果的に配置され、初級者でも音楽表現の面白さを体験できます。
3. 短い曲尺による集中力の維持
1分強という演奏時間は、練習にも本番にも最適です。限られた時間で効率的に仕上げることができます。
ブルグミュラー25の練習曲中盤程度の学習段階から挑戦できるでしょう。
‣ 練習のヒント
・アクセント音と通常音の違いを意識し、メリハリのある演奏を目指す
・中間部の ff / p の切り替えを大胆に表現し、狩りの場面を描写する
・ファンファーレセクションとスタッカートセクションの差を表現する
‣ おすすめ楽譜
初級者の方には、日本語での解説が充実した「全音版」がおすすめです。原典重視の方は「ヘンレ版」を使用しましょう。
・シューマン 子供の情景/ユーゲント・アルバム (原典版/ヘンレ社)
・シューマン ユーゲントアルバム 全音ピアノライブラリー
► 森の情景 Op.82-8 狩の歌
‣ 魅力とポイント
譜例(PD作品、Finaleで作成、曲頭)
もう一曲の「狩の歌」は、「森の情景 Op.82」の中に入っている一曲。
2004年のドラマ「仔犬のワルツ」で使用され、より広く知られるようになりました。約2分半の演奏時間で、以下の魅力を味わえます:
1. 豊かな響きの和音進行
重厚な和音の連続が、森の中での壮大な狩りの様子を描写します。
2. 技巧的な面白さ
レパートリー形成と同時に、和音の連続技法が技術訓練にもなります。
3. 発表会での存在感
華やかな響きで聴衆を魅了します。ドラマ「仔犬のワルツ」で使用された直後も、選曲者が急増しました。
ツェルニー40番中盤程度の学習段階から挑戦できるでしょう。
‣ 練習のヒント
・和音のトップノートを意識し、メロディラインを際立たせる
・アクセント音と通常音の違いを意識し、メリハリのある演奏を目指す
・テンポ設定は慎重に行い、無理のない速度から始める
‣ おすすめ楽譜
楽譜は「ヘンレ版」が定番です。一方、すぐに取り組みたい方は、「ぷりんと楽譜」で購入してチャレンジしてみるのもいいでしょう。
・ぷりんと楽譜
» 森の情景 op.82より 8.狩りの歌(R. Schumann) /ピアノ(ソロ)
・シューマン: 森の情景 Op.82/ヘンレ社/原典版
► 終わりに
2曲の「狩の歌」は、それぞれのレベルで異なる魅力を持っています。ユーゲントアルバムの作品は初級者の技術向上と音楽表現の学習に、森の情景の作品は中級者の演奏技術の充実と音楽表現の深化に最適です。
自身のレベルに合った作品から始めて、将来的には両方の曲をレパートリーに加えることを目指してください。どちらの曲も、練習過程での発見と本番での達成感を、十分に味わえる素晴らしい作品です。
【おすすめ参考文献】
本記事を通して「ユーゲントアルバム Op.68-7 狩の歌」に興味を持ち、楽曲分析を深めて学びたい方には、以下の書籍がおすすめです。詳細な楽曲分析を提供しています。
・大人のための独学用Kindleピアノ教室 【シューマン Op.68-7 狩の歌】徹底分析
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