「段階的なクレッシェンド」というのは、
グーっとなめらかにダイナミクスを上げていくのではなく、
階段を上がるように段として上げていく方法。
用語自体を耳にする機会は多くても、
実際に使い方がわからないという方も
いらっしゃるのではないでしょうか。
「段階的なクレッシェンド」を取り入れられる、
むしろ取り入れるべきところというのは
たくさんあります。
具体例を挙げます。
楽曲が変わっても基本的な考え方は応用できます。
ショパン「ワルツ 第2番 変イ短調 Op. 34-1(華麗なる円舞曲)」
譜例(PD作品、Finaleで作成、9-13小節)
1小節ごとにそれぞれ
「デクレッシェンド」
をショパン自身が書いています。
10小節目にはcresc.が書いてあるにも関わらず。
どう演奏すればいいか迷いませんか?
こういったところは
グーっとクレッシェンドするのではなく、
「1小節づつブロックとして段階的なクレッシェンドにする」
これが得策。
そうすれば、
ショパンが書いた「デクレッシェンド」と「cresc.」の
どちらも活かすことができます。
(再掲)
仮に、
1小節ごとにそれぞれ
「デクレッシェンド」が書いてなかったとしても、
こういった音型を見たときに
「段階的なクレッシェンド」を思い出せるかどうかがポイント。
というのも、少なくともこの例だと、
一小節ずつフレーズが終わっているので
グーっとクレッシェンドしてしまうと
フレーズ終わりの音が大きくなってしまい、
フレージングを正しく表現できないから。
(フレーズ終わりの音はおさめるのが基本です。)
つまり、
11小節3拍目の音が大きく飛び出してしまうと、
11小節目でひとつとなっているフレーズが
台無しになってしまいます。
それを解消するのが、
段階的なクレッシェンドというわけです。
クレッシェンドには他にもさまざまなタイプがあります。
「斎藤秀雄 講義録(白水社)」
という書籍では、
「クレッシェンドのタイプ」
を独自の言葉で分類しているページがあり、
とても参考になります。
◉ 斎藤秀雄 講義録(白水社)
Amazon著者ページ
https://www.amazon.co.jp/~/e/B0CCSDF4GV
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