具体例を見てみましょう。
楽曲が変わっても考え方は応用できます。
モーツァルト「ピアノソナタ 変ロ長調 K.570 第3楽章」
譜例(PD楽曲、Finaleで作成、74-77小節)
75-76小節の左手では
レガートでカンタービレな断片が出てきて、
それに対して右手では
スタッカートによる連打まじりの素材が奏でられます。
この両手のバランスのつくり方にはさまざまな解釈が可能ですが、
仮に、両手とも同じくらいのバランスでつくると
仮定しましょう。
そのときに体感の力の入れ方として
同じくらいの強さで弾いてしまうと
左手のほうが大きく聴こえてしまうんです。
音域の違いもありますが、
スタッカートの素材よりも
音が長く伸びている素材のほうがスキマがないからですね。
したがって、
同じくらいのバランスで響かせるためには
右手をやや太めに
もしくは、左手をやや控えめに弾く必要があります。
(再掲)
録音&チェックをすれば
このバランスについては明らかなのですが、
演奏しているときというのは
客観的に聴くように気をつけていないと
気が付きにくい。
体感の力の入れ方を同じにしていると
音量も同じくらいで弾いているように
聴こえてしまうのでしょう。
このように、
「同じ力配分でも、ニュアンスによっては聴こえ方のバランスが同じでない」
ということを念頭に置いておくと
バランスを取っていくうえで役に立ちます。
Amazon著者ページ
https://www.amazon.co.jp/~/e/B0CCSDF4GV
X(Twitter)
https://twitter.com/notekind_piano
YouTube
https://www.youtube.com/channel/UCBeXKaDXKd3_oIdvlUi9Czg
筆者が執筆しているピアノ関連書籍に加え、
数多くの電子書籍が読み放題になるサービスです。
コメント