ぶったように叩いた音は、
近くで聴くと
「ギャン!」という大きな音はしても
遠くで聴いていると
音が届いてこないと感じたこともあるはずです。
むしろ、
腰を入れて重いものを押すときの身体の感覚で
鍵盤の近くから押し込むように打鍵したほうが
ずっとよく響きます。
このように
「打鍵上の工夫」で
響かせるためのポイントを記事にしてきました。
一方、今回は
「誰にでもできる、もっと簡単にピアノを響かせる方法」
をご紹介しましょう。
それは、
「最初の音を弾き始める前に、あらかじめダンパーペダルを踏み込んでおく」
という方法。
楽曲を弾き始める前に
ダンパーペダルを踏み込んでおき、
その状態からフォルテで打鍵する。
このようにすると、
打鍵と同時にペダルを踏む場合よりも
響くフォルテが出せます。
例えば、
などで取り入れてみるといいでしょう。
さて、
ペダルをあらかじめ踏み込んでおくことで
響かせることができることは
理解できたと思いますが、
それを「そういうもの」だと思って覚えるだけでは
あまり進歩がありません。
なぜ響くようになるのかを
構造面から理解しておく必要があります。
要するに、
「弦の共鳴」を利用しているのです。
ダンパーペダルを踏むことで
“すべての” ダンパーが弦から離れます。
つまり、
打鍵された弦に加えて
他の開放されている弦も共鳴します。
これが響かせるポイント。
ペダルを踏んでいなければ
他の弦は共鳴してくれないため、
それらのぶんの音響は得られません。
ペダルを踏んでいない状態で打鍵した場合は
その鍵盤に対応するダンパーのみが弦から離れる構造になっているので
結果、そこに対応する弦のみが響きます。
他の弦はダンパーで響きが止められているので響かない、ということ。
あらかじめペダルを踏んでおくことで
言ってみれば「トンネル状態」になったピアノに対して
フォルテの音を鳴らすわけですから
よく響いて当然ですよね。
ダンパーペダルを踏むと
ピアノの内部で何が起こるのか。
こういった仕組みから理解しておきましょう。
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