■「テンポをゆるめず、一気に弾いてほしい」というサイン
♬ 例1「休符 & クレッシェンド」によるサイン
具体例を挙げます。
楽曲が変わっても基本的な考え方は応用できます。
譜例(PD楽曲、Finaleで作成、19小節目)
ここでは
登り切るまでノンストップでかけ上がるべきです。
理由は以下の2つ。
② クレッシェンドが書かれており、音楽の方向性が明らかだから
かけ上がり直後の休符は
「そこでエネルギーが解放される」という意味であり
逆に言うと、
「そこまではノンストップで突っ切ってほしい」
というメッセージです。
(これ、すんごく大事!)
さらに、
クレッシェンドにより
音楽の方向性まで明らかにされているため、
かけ上がりの際にテンポをゆるめるべきではないのは明らかです。
♬ 例2「連符 & フェルマータ」によるサイン
ベートーヴェン「ピアノソナタ第8番 悲愴 ハ短調 op.13 第1楽章」
譜例(PD楽曲、Finaleで作成、10小節目)
この下降クロマティックスケールは、
タメたりrit.したりせずに「一気に」フェルマータの音まで流れ込んでください。
理由は以下の2つ。
② たどり着いた先に「停止」という意味のあるフェルマータが付いているから
つまり、
ここでの連符は
「速くしていく」というよりも、
「rit.をしないで下さい」という意図だと考えられます。
だからこそ、たどり着いた先に
「停止」という意味のあるフェルマータが付いているのですね。
今回は2つの例を挙げました。
なぜ、
今回解説したような
楽譜の読解力を鍛えるべきなのかというと
楽曲が変わっても応用できる力を養うためです。
例えば、
「ここではテンポをゆるめる」
「ここではテンポをゆるめない」
ということを
すべて勘を頼りにやっていたのでは
本質を学んでいることにはなりません。
楽曲が変わると
たちまち対応できなくなってしまう。
しかし、
本記事で学んだように
エネルギーの流れから楽譜を読み取れば
「普通に弾けば、結局そうなる」
という原則をおさえられるので
楽曲が変わっても応用できるのです。
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