【ピアノ】楽曲が要求しているテンポを示しているフレーズを見つける

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緩徐楽章をはじめとした
テンポの緩やかな作品におけるテンポ設定については、
その楽曲の中でいちばん音価が細かいところに目をつけるというのが定番。
一方、
「楽曲が要求しているテンポを示しているフレーズを見つける」
というのがいちばんの前提となってきます。

 

「速い楽曲でテンポが上がるかどうか」

というのは

とうぜん、問題となりますね。

一方、

「テンポの緩やかな作品でどのようにテンポを設定するか」

というのは

それと同じくらい問題意識をもたなければいけません。

 

たいてい、演奏するときに意識せずにやってしまうのがこの部分。

どうしてそうなるのかというと

おそらく、弾けてはいるので軽視してしまうからでしょう。

 

筆者は専門がピアノ音楽の作曲や編曲なので

ソロ作品や室内楽作品を演奏家に弾いていただくことがあるのですが、

初音出しのときに、興味深いことが起きます。

その楽曲がテンポの緩やかな作品の場合、

十中八九、想定よりも遅いテンポで演奏されるんです。

 

それでも魅力的になっていれば

演奏者の音楽感にお任せするわけですが、

この傾向というのは

どの国へ行ってもどなたに弾いていただいても

大体、同じ傾向になるので不思議です。

 

テンポの緩やかな作品でどのようにテンポを設定するかについて

もっとも定番的なのは

「その楽曲の中でいちばん音価が細かいところを基準にテンポを決定する」

というやり方。

これは、フリードリヒ大王のフルートの先生をやっていた

クヴァンツがすすめているやり方でもあります。

 

一方、必ずしもこのやり方が最善とは限りません。

例えば、

2005年に放送されていた

「スーパーピアノレッスン モーツァルト編」の中で、

講師の「フィリップ・アントルモン」が

モーツァルト「ピアノソナタ第14番 K.457 第2楽章」

のテンポ設定について、

以下の譜例のカギマークで示した部分を基準とするように

アドヴァイスしました。

 

譜例(PD楽曲、Finaleで作成、5-6小節)

この楽章では

64分音符も出てくるので

このカギマークの部分が

いちばん音価が細かいところというわけではありません。

しかしおそらく、

コンスタントに同じ音型が繰り返されて

左手によるコンスタントなリズムも出てくることから

この部分を提案したのでしょう。

 

つまり、

その楽曲の中でいちばん音価が細かいところに目をつけるのは

視点のひとつとしてはアリなのですが、

「楽曲が要求しているテンポを示しているフレーズを見つける」

というのがいちばんの前提となってきます。

必ずこの視点をもって

テンポを決定していくようにしましょう。

 

◉ NHK スーパーピアノレッスン モーツァルト (2005年4月~7月) (NHKシリーズ)

 

 

 

 

 

 


 

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この記事を書いた人
タカノユウヤ

ピアノ音楽(ピアノソロ、ピアノが編成に入った室内楽 など)に心惹かれ、早何十年。
ピアノ音楽の作曲・編曲が専門。
物書きとしては楽譜だけでなく文章も書いており、
音楽雑誌やサイトなどでピアノ関連の文筆を手がけています。
Webメディア「大人のための独学用Webピアノ教室」の運営もしています。
受賞歴として、第88回日本音楽コンクール 作曲部門 入賞 他。

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