■できる限り音楽的につなぐ部分抜粋方法
♬「長大な楽曲を短くするケース」でのポイント①
「組曲」などでは数曲が集まって長くなっていますが、
まずこの項目では
「その曲単体で長尺の楽曲」
を短くするケースを例にします。
一つ目のポイントは
「主調の主和音で終わる箇所を使ってつなげる」
ということです。
言葉で聞くとなんだか難しそうに思うかもしれませんが、
やっていることは簡単です。
「主調の主和音」とは、
「ハ長調の曲の場合、ドミソ、つまりⅠ度のところ」のこと。
覚えていただきたいのは、
「主調の主和音からは、極論、どんな調へもつなぐことができる」
ということです。
つまり、
ハ長調の曲の場合、
「ドミソ、つまりⅠ度の和音」から
「変ホ長調Ⅰ度の和音」に行くこともできれば
「イ短調のⅠ度の和音」など
さまざまな調へいくことができるということ。
「主調の主和音」で終わるところを使ってつなげば、
聴いていて不自然なくつながる可能性が高いというわけです。
楽曲によっては
「和声以外の面」
例えば、
「音型」や「前後関係」などの都合で
うまくつながらない可能性もありますが…。
♬「長大な楽曲を短くするケース」でのポイント②
「その曲単体で長尺の楽曲」
を短くするケースで、もうひとつのポイント。
「原曲にあるエンディングを入れる」
ということです。
例えば、
「中間部」を省略し、
「有名な穏やかなテーマ」だけを演奏するとしましょう。
この際に、
中間部からテーマの再現に戻った瞬間に
「主調(ホ長調)の主和音」が鳴ります。
極論、この和音で伸ばして楽曲を終えることもできるのです。
一方、
「和声が終止していれば必ずしも音楽的な終わり方ではない」
というところが音楽の難しさ。
特に有名な楽曲ほど、
聴衆はその楽曲の
「曲頭部分」および「エンディング部分」
を覚えているし、期待もしています。
そこで、
「原曲にあるエンディングを入れる」
ということは
◉ 聴衆の期待を裏切らない
という点でも必要なのです。
エンディングというのは
「原曲の曲尺に対してのバランス」
が考えられて作曲されています。
したがって、
一部抜粋したのにも関わらず
原曲通りのエンディングを入れてしまうと、
ややバランスが悪くなり
お尻だけ大きいような印象にもなってしまいがち。
しかし、
それでも「原曲にあるエンディングを入れる」ほうが、
聴衆の満足度は高いはず。
編曲の仕事などをしていても感じるのですが、
聴衆やユーザーは私たちが思っている以上に
「原曲」と言ってくる傾向がある。
とうぜんのことです。
♬「組曲から数曲抜粋するケース」でのポイント
この項目では、
「組曲から数曲抜粋するケース」を取り上げます。
組曲の場合、
一曲一曲は短いことが多いですが
組曲全体では相当な演奏時間になる作品があるので、
演奏会で弾くときには数曲を抜粋して演奏する必要が出てきたりします。
その際の「できる限り音楽的につなぐ部分抜粋方法」のポイントは、
「配列を考えること」
これに尽きます。
例えば、
◉ 同じ調性の曲ばかりを抜粋してしまっていないか
◉ いちばん最後に選ぶ曲は締めくくりにふさわしい楽曲にしてあるか
など。
また、原曲の1曲目はその組曲の「顔」ですので
抜かないほうがいいでしょう。
例えば、
シューマン「子供の情景 Op.15」より抜粋する場合、
「1.見知らぬ国」は必ず入れるべきです。
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