【ピアノ】ピアノでは基礎メソッドが確立されていない理由

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本記事では、
ピアノの楽器としての特徴を踏まえながら
その基礎メソッドについて話題にしています。

 

筆者はヴァイオリンも習っていたことがあるので

弦楽器の基礎メソッドも

ある程度把握しています。

そういった視点で眺めてみると、

弦楽器、特にヴァイオリン族の楽器に比べると

ピアノでは基礎メソッドが確立されていない印象を受けます。

 

例えばヴァイオリンでは、

入門からメソッドが確立されています。

どのような練習を積み上げていくかが

体系的にまとめられていますし、

ポジションチェンジのやり方一つとっても

”共通認識” として

しっかりとやり方が決まっています。

 

一方、ピアノの場合は

初期段階での定番教材はあるものの

どういったテクニックをどのように積み上げていくのか、

というメソッドはありません。

マイナーな教材の中に存在していたとしても、

共通認識にはなっていません。

おこなわれているのは

「色々な調性を経験して黒鍵も上手く使えるようにしていくこと」くらいです。

 

手のポジションのつかみ方も

「音を外さないように、なんとなくつかみにいく」

という程度で、

ポジションチェンジのやり方が

共通認識としてまとめられているわけではありません。

 

こういった部分が

弦楽器の基礎メソッドとは大きく異なります。

 

それでも、

ピアノの基礎段階というのは教育が成り立っていますよね。

なぜだと思いますか?

 

いくつか理由はあると思いますが、

私が考える理由は、大きく以下のようなものです。

◉ ピアノでは、どこのオクターヴをとっても運指が同じで済むから
◉ ピアノでは、音域によっての音色などの変化が少ないから

 

ピアノでは、どこのオクターヴをとっても運指が同じで済むから

 

つまり、テクニック面のことです。

 

ヴァイオリン族の楽器を触ったことがあり、

4本の弦でどのように音程を作っていくかをご存知の方は

想像がつくかと思いますが、

ヴァイオリン族の楽器では

どこのオクターヴで演奏するかによって

運指が変わってきます。

一方、ピアノでは、

「右手だけ、楽譜よりも1オクターヴ上げて弾いてください」

などと言われた場合、

音域さえ足りていれば何の問題もなく可能ですよね。

 

「ピアノでは、どこのオクターヴをとっても運指が同じで済む」

これが、

基礎メソッドの必要性を希薄にしている理由の一つです。

 

「どのように指先を使って打鍵すればいいか」

という問題は残りますが、

「どのようにポジションチェンジすればいいか」

という内容は問題にならないということになります。

 

その他のテクニック面としても、

ヴァイオリン族の楽器では

高音域へいけばいくほど

半音の開き(音程を作るために押さえる位置同士の間隔)が狭くなるので

「指を少し傾けただけで、半音近く音程が変わってしまった」

なんてことにも。

 

一方、ピアノでは、

「音域によるキータッチの重さ」

などのわずかな変化はありますが、

半音の開きが狭くなるような弦楽器の特性に比べると

大した変化ではありません。

鍵盤の横幅が狭くなるわけでもありませんから。

 

ピアノでは、音域によっての音色などの変化が少ないから

 

ヴァイオリン族の楽器では

音域による音色の変化が非常に大きくでます。

 

音域が上がっていくと音色がどんどんと変わっていくことはもちろん、

J.S.バッハ「G線上のアリア」という楽曲があるように、

メロディをすべてG線で弾くと、

移弦して隣のD線も使いながら弾いた場合よりも

「鼻にかかったような、訴えかける音色」になります。

 

ピアノでは、

音域による音色の変化は比較的少なめですし

同じ音程を別の方法で出すことは

ハーモニクスでも使わない限り原則できません。

 

こういったことも、

基礎メソッドの必要性を希薄にしている理由の一つと言えるでしょう。

 


 

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この記事を書いた人
タカノユウヤ

ピアノ音楽(ピアノソロ、ピアノが編成に入った室内楽 など)の魅力にとりつかれて、早何十年。
ピアノ音楽の作曲・編曲が専門。
物書きとしては楽譜だけでなく文章も書いており、
音楽雑誌やサイトなどでピアノ関連の文筆を手がけています。
Webメディア「大人のための独学用Webピアノ教室」の運営もしています。
受賞歴として、第88回日本音楽コンクール 作曲部門 入賞 他。

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