ヴィルギュルとは
フランス語では
「文の区切り」を示すために使われる記号です。
楽譜に書かれているのも
ときどき目にします。
ドビュッシーによる一例を見てみましょう。
以下の譜例の
「2小節目終わり」と「7小節目終わり」に出てきている記号がヴィルギュル。
ドビュッシー「前奏曲集 第1集 より 雪の上の足跡」
譜例(PD作品、Finaleで作成、1-8小節)
記号を見ると何となく検討つきますが、
ドビュッシーは
ヴィルギュルを「呼吸」の意味でとらえていたと
音楽学の分野で明らかにされています。
この楽曲では以上の2箇所のみで出てきます。
しかし、
ヴィルギュルなど書かれていなくても
スラーでフレージングが切れていますよね。
そう考えると
どういう意図のヴィルギュルなのか
理解に迷いませんか?
私はドビュッシーではないので
あくまで推測でしかありませんが、
以下の2つの意図があると考えられます。
◉「少なくともここでは呼吸を入れてほしい」という、最低限の要求
作曲家の武満徹が
「雨の樹素描 II-オリヴィエ・メシアンの追憶に-」の中で
高音域部分に「Celestially Light(天上の光)」と書きこんだように、
作曲家というのは
必ずしも演奏に劇的な変化を及ぼさなくても
ちょっと素敵になるような細かなこだわりを
書き込むのが普通です。
もしかしたら、
ドビュッシーも
演奏に大きな影響はなくても
自分の希望をちょっと譜面上に残したかった、
それくらいの気持ちで書いたのかもしれません。
それか、
ヴィルギュルがフランス語で使われるように
この楽曲を一編の文章のように扱ったのか…。
演奏者によってさまざまな解釈がありますので
いざ弾くことになったら
あなた自身の考えもめぐらせてみましょう。
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