【ピアノ】モーツァルト作品の曲頭にダイナミクスが書かれていない場合の解釈法

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モーツァルトの作品の曲頭に
ダイナミクス指示が書かれていない場合の
基本的な解釈法を解説します。

 

モーツァルトの時代では  

第1楽章の曲頭にダイナミクス指示がない場合は  

基本的に f で弾き始めるというのが慣例となっていました。

多くの楽曲ではそれで問題ないのですが、

モーツァルト以降の時代の記譜における

ほんとうの f だと思うと

しっくりしないケースも出てきます。

 

ーツァルト「ピアノソナタ 変ホ長調 K.282 第1楽章」

例(PD楽曲、Finaleで作成、曲頭)

 

この楽章の楽譜を原典版で確認すると

曲頭のダイナミクスは書かれていません。

 

このピアノソナタは

モーツァルトのソナタの中にあって唯一、

緩徐楽章としての第1楽章から始まります。

音遣いなどの曲調からしても穏やかな雰囲気なので

p で弾き始める奏者も多く見られます。

 

一方、4小節目にわざわざ p が書かれていますし、

曲頭から p で演奏するのはどうなのかという疑問も。

だからといって

ほんとうの f で始めると

曲の雰囲気に合わないようにも感じますよね。

 

ここで、以下の抜粋を参考にしてほしいと思います。

 

「新版 モーツァルト 演奏法と解釈」著 : エファ&パウル・バドゥーラ=スコダ 訳 : 堀朋平、西田紘子 監訳 : 今井顕 / 音楽之友社 より

(以下、抜粋)
モーツァルトの f はとても大きな音から中くらいの音量にわたる、
幅広い範囲を含んでおり、
同じようにモーツァルトの p は、
豊かで歌うような mp からきわめて弱い p までを意味するのです。
《ピアノソナタ ハ短調 K.457》第1楽章展開部の冒頭にある f は、
ベートーヴェンの ff に相当するでしょう。
言うまでもなく、
強弱はそれぞれの作品の枠組みの中で解釈されなければなりません。
(抜粋終わり)

 

(再掲)

上記の抜粋を踏まえると、

譜例の曲頭では

たとえ f でも、以降の時代の記譜における mf くらいのニュアンスで演奏すると考えると

問題がスッキリと解決します。

 

重要なことなので

まわりくどく解説しましたが、

まとめると、以下のようになります。

モーツァルトの作品で第1楽章の曲頭にダイナミクス指示がない場合は、
基本的には f で弾き始める。
しかし、
彼の f はとても大きな音から中くらいの音量にわたる
幅広い範囲を含んでいるということを踏まえて、
それぞれの作品の枠組みの中で解釈する。

 

◉ 新版 モーツァルト 演奏法と解釈 著 : エファ&パウル・バドゥーラ=スコダ 訳 : 堀朋平、西田紘子 監訳 : 今井顕 / 音楽之友社

 

 

 

 

 

 

 


 

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この記事を書いた人
タカノユウヤ

ピアノ音楽(ピアノソロ、ピアノが編成に入った室内楽 など)の魅力にとりつかれて、早何十年。
ピアノ音楽の作曲・編曲が専門。
物書きとしては楽譜だけでなく文章も書いており、
音楽雑誌やサイトなどでピアノ関連の文筆を手がけています。
Webメディア「大人のための独学用Webピアノ教室」の運営もしています。
受賞歴として、第88回日本音楽コンクール 作曲部門 入賞 他。

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