楽曲の最後の伸ばしで
書かれていないフェルマータを入れてしまっていませんか。
ピアニストの演奏を聴くと
ときどき補っている方もいます。
しかし、それはもっとも正統的というわけではありません。
もし作曲家にとってフェルマータの表現が必要だったのであれば
◉ フェルマータを書かずに、1小節増やしてタイでつなぐ
などといった処理がとられるはずだからです。
それに、
ピアニストの演奏を聴いて
フェルマータをしているように聴こえるのは、
その直前でrit.をして
テンポ自体が広がっているケースがほとんど。
勝手に書かれていないフェルマータをすべきでない理由は
「書かれていないから」
というだけでなく、
「楽曲が非常に短い場合、全体のバランスがくずれる可能性もあるから」
という音楽的な理由も含みます。
曲尾ばかりたっぷりしていて、
お尻でっかちになってしまうということ。
シンプルな楽曲であっても、
こういった「全体の構成を意識すること」は必要。
構成というのは
作曲上のことだけでなく
このように演奏上でも表現できるんです。
もっと言うと、
「演奏次第では、作曲家が書きのこした構成を台無しにしてしまう可能性がある」
ということ。
ロマン派以降、
特に「近現代」になってくると
作曲家の楽譜への書き込みは多くなってきます。
ラヴェルにいたっては、
などといった言葉を残しているくらいです。
これは「構成」に関しても影響のある一言。
ちなみに、少々極端だと思います。
ラヴェルの作品ですら
◉ ニュアンス
◉ 音色
などを
すべて楽譜に書き表せているとは言えないからです。
と言いますか、
楽譜ってそういうために存在するのではありません。
楽譜にできることとできないことがあります。
しかし、
「楽譜をていねいに読むことは間違いなく必要かつ重要」
というメッセージは伝わってきますよね。
まずは作曲家が書きのこした楽曲の骨格を
楽譜から読み取る。
フェルマータなどの色付けをするのであれば
その後にしましょう。
【ピアノ】フェルマータとrit.との関係に気をつけよう
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