具体例で見てみましょう。
楽曲が変わっても基本的な考え方は応用できます。
譜例(PD作品、Finaleで作成、19-20小節)
カギマークで示した部分を見てください。
この19小節目に出てくるスラーを
ダンパーペダルでつなげるのはやめておくべき。
なぜかというと、
バスの同音連打Es音も
その部分だけつながってしまって不自然だからです。
記譜上は声部分けされていないだけで
ここはどう考えても
左手で演奏するパートのみでも2声になっているので、
それぞれの声部を独立して扱わなければいけません。
スラーが同音連打のバスにもかかっていると考えるのは
ムリがあります。
すべての同音連打バスを
ペダルでつなげてしまうのはどうかというと、
そうしてしまっては
左手上声部のスラーの意味が薄れてしまいますし、
そもそもメロディが非和声音も使って細かく動いているので
濁ってしまい、
現実的ではありません。
(再掲)
一方、20小節目の左手パートに出てくるスラーに関しては、
バスも一緒に別の音へ動いているので
バスにもかかっていると解釈することが
できなくはありません。
とうぜん、
バスにはかかっていないものとして演奏することも可能です。
この譜例の部分のように
「声部分けされていないけれども、明らかに多声として扱われるべき和音」
が出てきたときには、
スラーがひとつの声部にかかるのか、
それとも、他の声部にもかかるのかを
場面をよく踏まえたうえで判断してください。
(再掲)
こういったスラーの問題は
専門家の中でも意見が割れる代表的なもの。
ただし、譜例のカギマークで示したところのような
同音連打バスには
どう考えても一部分だけスラーがかかるとは
考えられないので
ひとつの判断基準となるでしょう。
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