【ピアノ】楽曲中のテンポ変化を見据えたテンポ設定をする

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「楽曲中のテンポ変化を見据えたテンポ設定をする」
という点に注意して
楽曲を大きく全体でとらえることが重要です。

 

具体例を見てみましょう。

楽曲が変わっても考え方は応用できます。

 

例1:J.S.バッハ「平均律クラヴィーア曲集 第1巻 第2番 BWV 847 ハ短調 より プレリュード」 

 

まず取り上げるのは、

同じ楽曲の中で

AllegroとPrestoなど

数種類の同系統の速度標語が出てくる場合。

 

この楽曲では、J.S.バッハ自身による速度標語として

Presto、Adagio、Allegroが出てきますが、

PrestoとAllegroは

どちらも「速い速度」なので、

それらの差が分かるように

楽曲中のテンポ変化を見据えたテンポ設定をする必要があります。

 

この楽曲のテンポ設定に関して、

J.S.バッハ研究の第一人者であるヘルマン・ケラーは

曲頭およびAllegroは ♩=92 程度、

Prestoは ♩=126 程度、

Adagioは ♩=63 程度、

を提案しています。

 

「バッハのクラヴィーア作品」

著 : ヘルマン・ケラー  訳 : 東川 清一、中西 和枝 / 音楽之友社 より

 

この部分の

Adagioも含めたテンポのまとめ方に関しては、

「ピアノの練習室」 著 : 小林 仁  / 春秋社

という書籍に

以下のようなヒントがあります。

(以下、抜粋)
アダージョの前では当然わずかに rit. があり、
アダージョのレチタティーヴォのなかの六十四分音符と
つぎのアレグロの十六分音符がほぼ同じくらい、
と考えるとうまくいくようです。
(抜粋終わり)

 

この抜粋からも分かるように、

「何かに基準をつくる」

というのは、

複数のテンポが混在する楽曲のテンポ設定において

とても有効な考え方です。

 

平均律クラヴィーア曲集より、もう一例取り上げます。

 

例2: J.S.バッハ「平均律クラヴィーア曲集 第1巻 第10番 BWV 855 ホ短調 より プレリュード」 

 

この楽曲では

後半でPrestoになりますが

それまでは作曲家自身によるテンポ指示はありません。

ヘルマン・ケラーは

楽曲の前半部分は ♩=63 程度、

Prestoからは ♩=126 程度、

を提案しています。※ 上記書籍より

 

楽想的にも、

「楽曲中のテンポ変化を見据えたテンポ設定をする」

という観点で言っても、

ヘルマン・ケラーが提案しているように

前半部分をゆるやかなテンポに設定するのは良案ですね。

 

楽曲を大きく2部に分けて

同系統ではない対照的な速度のみを設定するケースとなります。

このようなケースで

テンポ設定に関して注意すべきなのは、

きちんと対照を表現できるようにすること。

 

特に、この楽曲にやっとこ取り組む段階では、

ゆるやかなところは速くなって

速いところは指の都合で遅くなってしまい

テンポの幅が上下から圧縮されたような形になりがち。

テクニックの問題の解決をしながら

仕上げに関してはテンポの注意が必要です。

 


 

繰り返しますが、

「楽曲中のテンポ変化を見据えたテンポ設定をする」

という点に注意して

楽曲を大きく全体でとらえることが重要です。

そして、

思っているよりも

実際の演奏が速かったり遅かったり

といったギャップにも注意しましょう。

このギャップが埋まっていて、

なおかつ、テンポ設定が適切にいっているときに

はじめて、

テンポの進み方が成功します。

 

 

◉ バッハのクラヴィーア作品
著 : ヘルマン・ケラー  訳 : 東川 清一、中西 和枝 / 音楽之友社

 

 

 

 

 

 

 

◉ ピアノの練習室  著 : 小林 仁  / 春秋社

 

 

 

 

 

 

 


 

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この記事を書いた人
タカノユウヤ

ピアノ音楽(ピアノソロ、ピアノが編成に入った室内楽 など)の魅力にとりつかれて、早何十年。
ピアノ音楽の作曲・編曲が専門。
物書きとしては楽譜だけでなく文章も書いており、
音楽雑誌やサイトなどでピアノ関連の文筆を手がけています。
Webメディア「大人のための独学用Webピアノ教室」の運営もしています。
受賞歴として、第88回日本音楽コンクール 作曲部門 入賞 他。

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