上記の記事では、
「テンポの速い楽曲の中に出てくる部分的な難所をどのように克服するか」
について解説しました。
本記事では、楽曲全体にまで視野を広げて解説していきます。
まず前提として、
部分的な難所が克服できないと
とうぜん、全体のテンポも上がらないことは心得ておきましょう。
そのうえで、全体のテンポに関してですが、
テンポ数値ではなく「演奏時間」で管理したほうが適切というのが要点です。
そうすれば、
メトロノームをかけるのが好ましくない部分や楽曲でも応用できますので。
例えば、
プロが演奏するとおおむね3分程度で弾き切るPrestoの作品
を練習しているとします。
まず、普通に通しで弾いたものを録音してみましょう。
それが「演奏時間 3分45秒」だったとします。
そして次は、
ミスを気にせず
3分30秒くらいで弾き切れるようにテンポを上げて録音してみる。
このときに、3分30秒で弾き切ることの忙しさと余裕のなさを
感じると思いますが、
ゆくゆくはこの差を埋めていけばいいんですよ。
録音を聴き直して
何ができていないのかをしっかりと把握する。
ミスをしてしまったところや
狙い通りの音色が出せなかったところなどを
テンポを下げて部分練習したり
という記事で紹介したような方法で
ブラッシュアップしていきます。
そして再び、3分30秒くらいで弾き切れるように録音してみる。
これを繰り返していると
3分30秒で弾き切ることを
3分45秒で弾いていたときと同じくらいの余裕をもっておこなうことが
できるようになります。
次は3分20秒、というように詰めていきます。
良くないクセがつくのを避けながら
テンポを上げていくためにも、
「音ミスなく弾ける」
というだけでなく
「音楽的に納得をもって弾ける」
という状態まで練習してから
次のステップへ進むようにしてください。
もうひとつ踏まえるべきなのは
「必ずしも、多くのプロが弾く3分を目指さなくてもいい」
ということ。
テンポが速いほうが上手に聴こえる楽曲というのも
確かにありますし、
テンポが上がるだけで流れが良くなることもあります。
しかし、
表現したい内容が
3分20秒でも表現できるのであれば
そこを自身の標準テンポとしても構いませんし、
テクニック的にまだ困難であれば
いったん、3分30秒でできる最高の演奏を目指すのでもいいんです。
表現したい内容が
それぞれ異なるのにも関わらず
みんなで3分を目指すのは、
骨格が異なるのに
みんなで体重39kgを目指すのと同じくらい意味のないこと。
プロの演奏時間は
あくまで「参考基準」くらいで考えておくといいでしょう。
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