楽器を弾く方にも
「楽式論 石桁真礼生 著(音楽之友社)」で勉強することを
たびたび推してきました。
しかし、
楽式論って
一度は手元に置いたものの
使わなくなってしまう代表的な音楽参考書。
いちばん大きな理由は、
成果が返ってくるまで
ある程度の時間がかかり
すぐには学習効果を感じにくい分野だからでしょう。
部分動機などの
きわめて小さな単位から学び
音楽の根本をとらえていく分野なので
身になるまで
ある程度の時間がかかる。
「効率的な練習方法」などの
すぐに実践できるような具体策とは
異なるものです。
そういうものなのですから、
はっきり言って
どうしようもないと言えば
どうしようもありません。
一方、
その他いろいろでてくる小さな挫折ポイントは
無くすことができますので、
それらを消すためにできる
筆者なりのコツを4つ紹介します。
◉ 例外アリの分野だと割り切る
◉ 曲名を加筆して分かりやすくする
◉ 応用楽式は、いったん無視する
♫ 枕元へ出しっぱなしにする
使い続けるためには、
とにかく、しまわずに出しっぱなしにしてください。
枕元というのは比喩で、
「あなたにとって枕元のようなポジションに」
という意味。
身近なところに出しっぱなしにすることで
開くまでのハードルをグンと下げて、
かつ、存在を覚えておく。
忘れないような邪魔になる場所に居座らせて
手足にするほど仲良くしてください。
それでもまだ開くのが面倒くさいのであれば、
付属の外箱を捨てましょう。
♫ 例外アリの分野だと割り切る
楽式論において
普遍的な大事なところは
山ほどあるのですが、
勉強するときに
唯一の正解を見つけようと頭がかたくなると
挫折する可能性が上がってしまいます。
例えば、
楽式論の本編の楽譜85は、
3部形式の話なのですが
「2部形式の変形と考えられないこともありません」
と解説されています。
また、
シューマン「幻想小曲集 飛翔 Op.12-2」は
複合3分形式であると同時に
ロンド形式としても解説されています。
つまり、
楽式の学習において
「解釈次第ではどちらともとれる」
という例外はつきもの。
ある程度は
そういうものだと割り切るといいますか、
頭を柔軟にしてかかりましょう。
完璧主義すぎると
こういった学習は上手くいきません。
♫ 曲名を加筆して、分かりやすくする
「楽式論」は
とても優れた書籍なのですが、
ちょっとした弱点があります。
「言葉づかいがややあいまい」という部分。
特に、
曲名に関しては結構簡略化されているので
楽譜をパッと見て分かる
有名な譜例であればいいのですが
なじみが薄い作品の譜例は
見るたびに作品名を調べることになります。
これ、結構面倒。
重い腰がさらに重くなってしまう。
いっそのこと、
手書きで曲名を加筆してしまいましょう。
復習するときの面倒臭さがガクンと下がります。
例えば、
(記載)ベートーヴェン・ヴァリエイション
(加筆例)ベートーヴェン「創作主題による32の変奏曲 ハ短調 WoO.80」
(記載)ドビュッシー・チルドレンスコーナー,2.
(加筆例)ドビュッシー「子供の領分 より 2.象の子守歌」
これらの他、
ありとあらゆる作品のタイトルが
簡略化されていますので
加筆しておくといいでしょう。
♫ 応用楽式は、いったん無視する
〈第3編 応用楽式〉以降は、いったん無視してください。
第3編以降では
例えば、
「ワルツとは?」「エチュードとは?」「弦楽四重奏とは?」
などといった、
第2編までの内容がどのように各種項目に応用されているのかを学習します。
したがって、
当面はそれまでの知識をしっかりと備えることのほうを
優先すべきなのです。
やらなくてはいけないと思いこんでしまう分量を減らして
腰を持ち上げましょう。
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