音楽史の中でも
ピアノ音楽史に特化して書かれている書籍って、
少なくとも日本語訳されて出回っているものは
あまり多くありません。
上記のものは
分厚く、読むのに根気こそいりますが
ガッツリ本腰入れて徹底的に学習したい場合には
非常に益大きな参考書となっています。
◉ 鍵盤音楽の歴史 著 : F.E.Kirby 訳 : 千蔵八郎 / 全音楽譜出版社
読み辞めないポイントで
まずいちばん大事なのは、
とにかく、真正面からぶつからないことです。
歴史を古いほうからたどっていく進み方になっているのですが、
J.S.バッハの話へたどり着くまでに
172ページもあるんですよ。
おそらく多くの方にとっていちばん馴染みが薄いのは
この172ページ分の歴史ではないでしょうか。
音楽史の学習では
内容が頭の中で時系列に並んでいることが大切で、
それがあるからこそ
後の時代のことがより深く理解できます。
しかし、
はじめて取り組むときは
いったん別のアプローチをしてみてもいいと考えています。
具体的に何をやるかというと、次の5ステップ。
② 好きな作曲家の項目だけをいくつか読む
③ J.S.バッハから最後までをていねいに読む
④ 最初からJ.S.バッハまでの172ページをていねいに読む
⑤ 時系列を把握するつもりで、全ページをざっくりと復習する
① 804ページ全体をペラペラめくって、ざっくりと内容を把握する
まずは
「見開き2ページを、それぞれ3秒ずつ見たらめくる」
くらいの雑さでパラパラとめくっていきましょう。
20分程度で最後まで目を通せます。
このときには
文字や譜例の景色を見ながら
何となくどんな話題が扱われているのかを把握する程度で充分。
「シューマンの性格的小品の話をしているな」
「ショパンの項目は、やっぱり長いな」
など、何でもいいので
あれこれ感じながらながめていきます。
そうすると、
どこにどんな内容が書かれていて、
ショパンの時代はこの書籍のちょうど真ん中あたりに書かれていて、
知っている譜例がどれくらいあって、
などといったざっくりしたことが把握できる。
これだけで、
この書籍における流れがつかめて
今後の学習がずっとスムーズになるんです。
② 好きな作曲家の項目だけをいくつか読む
まだ、はじから読むことはしません。
続いて、好きな作曲家の部分のみを読んでください。
例えば筆者であれば、
新ウィーン楽派の3人をはじめ
シューベルト、フランスの何人かは
非常に好きなので
そのあたりからあたっていくでしょう。
このようにすることで
単純に楽しく読み進めることができますし、
「書籍の著者の言い回しに慣れてくる」
という利点もあります。
現時点ではあまり興味のない内容も
この後読んでいくことになるので、
著者のテンポと言いますか、言い回しに慣れておくと
今後の学習ハードルが下がります。
他の書籍を読む場合は、
「好きな作曲家の項目」ではなく
「目次をながめて読みたいと思った項目」
に目を通せばいいでしょう。
いちばんやって欲しいのはここまでの段階。
ここまでで無理しちゃうか、ゆるくやるかで
継続に大きく影響します。
上記くらいゆるく楽しくやれれば
③以降にも向かっていけるはず。
③ J.S.バッハから最後までをていねいに読む
いよいよ、ていねいに読み込んでいくわけですが
まだ真正面からぶつからないで
J.S.バッハの項目から読みはじめてください。
理由は上記の通り。
④ 最初からJ.S.バッハまでの172ページをていねいに読む
ここまでくれば
あとはJ.S.バッハ以前の172ページを残すのみです。
…とは言っても、結構ありますね。
しかし、
「もうおおむね学習が済んでいる」
という事実があるので
この段階で今までの学習を投げ捨ててまで
やめることはないでしょう。
そういう状況になってから、J.S.バッハ以前へ戻るんです。
⑤ 時系列を把握するつもりで、全ページをざっくりと復習する
繰り返しますが、
音楽史の学習では
知識が時系列に並んでいることが欠かせません。
ここまでに学習した内容の時系列を把握するようなつもりで
ざっくりと復習しましょう。
分厚い参考書でも
学び方を学んでから向かえば怖くありません。
むしろ、学習を楽しく進めることができます。
3日坊主になってしまういちばんの理由と
学習方法の例をお伝えしました。
どんな書籍へ向かう場合でもいいので
日頃の学習に取り入れてみてください。
◉ 鍵盤音楽の歴史 著 : F.E.Kirby 訳 : 千蔵八郎 / 全音楽譜出版社
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