ピアノという楽器はその特性上、
管楽器や弦楽器のように
出し終わった音を意図的にデクレッシェンドすることはできません。
しかし、
デクレッシェンドしたかのように聴かせることはできるので、
それを上手く取り入れることで
表現の幅を広げることができます。
■ペダルを踏みかえてデクレッシェンドする方法
♬ サイレント・キーを利用して、ペダルを踏みかえる
まずは、
ピアニストのミシェル・ベロフも取り入れている、
「サイレント・キーを利用して、ペダルを踏みかえる」
というやり方を例に挙げましょう。
ドビュッシー「前奏曲集 第1集 より 沈める寺」
譜例(PD楽曲、Finaleで作成、42-45小節)
ここでは p から pp までのダイナミクス間に
「4段階の弱音」が要求されていますが、
その表現サポートとして
「ペダルチェンジによるデクレッシェンド」が有効にはたらきます。
以下の手順。
各小節の3拍目の音(拍子自体は、6/4拍子)を打鍵したら、
すぐに1拍目の白玉音群を
再発音されないように両手とも押さえなおします。(サイレント・キー)
押さえ終わったら、ペダルを踏みかえます。
そうすることで、
押さえ直した音群がペダルで共鳴して
薄い音響が生まれます。
結果として、
デクレッシェンドしたような効果を得ることができるのです。
サイレント・キーをしていない状態での通常のペダル踏みかえでは
音響がすべて消えてしまいますので、
これらの違いを理解しましょう。
上記一連の手順を
楽曲テンポの中でおこなうわけですから
やや高度なテクニックと言えるでしょう。
特に、
「サイレント・キーの際に再発音してしまうミス」には
細心の注意が必要です。
共鳴を利用した方法ですので、
基本的に電子ピアノではできません。
現代音楽以外ではほとんど作曲家による指示はありませんので、
奏者の判断で取り入れることになります。
♬ ハーフペダルとしての踏みかえを繰り返す
「ペダルを踏みかえてデクレッシェンドする方法」
としては他にも、
「ハーフペダルとして半分だけ繰り返し踏みかえることで、デクレッシェンド効果を出す」
というやり方があります。
「フェルマータでの伸ばしの箇所」などで、
ペダルを踏んだままだと音響が厚すぎると感じる時に、
半分だけ踏みかえて音響を薄くする方法です。
繰り返すとデクレッシェンド効果を出せます。
これも、現代音楽以外ではほとんど作曲家による指示はありませんので、
奏者の判断で取り入れることになります。
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