以前より、
「ソフトペダルは “音量” を下げるためではなく、”音色” を変える意図が大きい」
とお伝えしてきました。
もちろん音量も下がりますし、
大きくしたくないところで適切に用いても構いません。
しかし、
本質的には「音色変化」なのです。
ソフトペダルが
いわゆる「弱音ペダル」ではないことを
ドビュッシーの楽曲の中で読み取ることができますので、
具体例として取り上げます。
ドビュッシー「版画 1.塔」のFirst editionを見てみると、
11小節目から「2 ped.」と書かれています。
これは、
意外かもしれませんが
「ソフトペダルを使用する」という意味で、
つまりここでは、
「ダンパーペダルとソフトペダルを両方使用する」
ということになります。
そこからのダイナミクスは p ですが、
そこまでのダイナミクスは pp 。
つまり、
ソフトペダルを使うように指示があるところから
ダイナミクス自体は上がっているのです。
ドビュッシーの自筆譜には「2 ped.」と書かれていないので、
どの段階でこの指示が入ったのか、
また、ドビュッシー自身の指示なのかは、はっきりしません。
しかし、
少なくともFirst editionからは
ソフトペダルを
「音量を下げるため」
ではなく、
「音色を変えるため」
に用いて欲しいのだろうということが伝わってきます。
念の為の補足です。
という記事でも書きましたが、
「弱音」の奏法というのは
「鍵盤が下がっただけで音が出なかった」
などといったことになってしまいがち。
そこで、
「ソフトペダルを踏んだ上で、打鍵は一段階上のダイナミクスで演奏する」
というテクニックを用いる場合があります。
しかし、
これは譜面上でケアする問題ではありませんので
特別の考慮は不要です。
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