右手はクレッシェンドをしていくときに
左手はデクレッシェンドをしていくような
それぞれの手で逆の表現をする場面というのは
良く出てきますね。
以下の譜例のような
ほんの一瞬のものを含めれば
もっと数は多くなります。
モーツァルト「ピアノソナタ 変ロ長調 K.570 第1楽章」
譜例(PD楽曲、Finaleで作成、125-126小節)
カギマークで示したところを見てください。
カッコ付きダイナミクスの松葉で補足したように
右手はため息のようにデクレッシェンドしたいところですが、
左手のGes音へ入るところは
小さくしたら不自然です。
このような、それぞれの手で逆の表現をするときというのは
独特の難しさがあり、
両手で一緒にクレッシェンドしたりと
同じ表現をやるほうがずっと容易。
さて、本題に入ります。
それぞれの手で逆の表現をするときの混乱の対処法は、
以下の4ステップをきちんと踏むことです。
② それを暗譜で弾けるようにする
③ 両手をゆっくりのテンポで合わせて、それぞれの表現を大げさにやる
④ 大げさな表現を、理想の表現におさえていく
まずは片手づつ、理想のニュアンスで弾けるようにすること。
これが出来ていないと
両手で別々のニュアンスを表現するのはムリ。
続いて、それを暗譜で弾けるようにすること。
そうすることで
両手で合わせたときに意識しないといけないことを
減らせるからです。
ここまで出来たら、
ようやく両手で合わせていきます。
ゆっくりのテンポで合わせて、
それぞれの表現を大げさにやるようにする。
「大げさ」というのが重要で
「それぞれの手がこういう表現をしている」
というのを
両手で弾いている状態で
頭に刻みつけてください。
最後に、その大げさな表現を調整して
理想の表現へおさえていく。
この4ステップを踏むうえで大事なことは
ひとつもとばさないこと。
多少めんどうに思うかもしれませんが、
それぞれの手で逆の表現をするときに混乱して
結局、両手ともニュアンスを付けないで弾こうなどと
妥協してしまわないためにも、
ぜひ踏まえて欲しいやり方です。
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