■テンポが速いからこその注意点 ~小犬のワルツを例に~
♬ 拍子感を忘れずに
譜例(PD楽曲、Finaleで作成、1-4小節)
テンポが速いと、
どうしても音を弾くことに必死になってしまい
拍子感が薄れてしまいがちです。
譜例のところは拍子感に注意が必要な代表例です。
なぜなら、
◉ 右手のパッセージの構造がズレていくから
この2つの条件がそろってしまっているからです。
常に3拍子の意識を忘れずに
この4小節を仕上げましょう。
♬ 装飾音に不自然なアクセントがついてしまわないように
この楽曲には「プラルトリラー」が複数回出てきます。
難しいのは分かりますが、
こういった装飾音は
流れの中でさりげなく入れてください。
テンポが速いと
頑張って入れようと思うあまり
そこに不自然なアクセントがついてしまったりします。
不自然なアクセントが入るというのは
極端な言い方をすると
音楽が止まったのと同じことです。
「ゆっくり練習(拡大練習)」するときから
この点に気をつけてさらいましょう。
ちなみに、
この作品に出てくるプラルトリラーは
速いテンポの中で入れるのが難しいということもあり
やや簡略化した入れ方が推奨されています。
詳しく知りたい方は
コルトー版を参照してください。
◉ ショパン/ワルツ集 (アルフレッドコルトー版)
♬ 3連符が装飾音のようにならずに
これについては、
という記事で解説していますので
参考にしてください。
♬ 跳躍でテンポを広げるときも、拍感覚を忘れずに
(120-122小節)
121小節目では
通常、少しテンポを広げて演奏します。
「大きな跳躍がある」という理由に加え、
次の小節の崩れ落ちるような下降表現を
印象的に演出するためです。
これまで速いテンポで
「123 123」ときていたため、
テンポをゆるめた瞬間に気までゆるんで
拍感覚がなくなってしまっていませんか。
テンポが広がっても
3拍子の感覚は忘れずに持っていましょう。
♬ 脱!sempre mf
正直、これがいちばん言いたかったことです。
ダイナミクスの表現が平坦になり、
「sempre mf(常にメゾフォルテ)」
のような演奏になってしまうことは
避けなければいけません。
特に、テンポが速い楽曲のときにやってしまいがち。
いわゆるガシャ弾き状態になってしまうのは
速く弾くこと自体に必死になってしまうからです。
この記事で取り上げている他のいくつかの注意点も、
「弾くのに必死になってしまうから」
という部分に由来して起きることでしょう。
トラックが120キロで走って
半分くらい荷物を落としている状態は
避けなければいけません。
70キロで走って、
見事に荷物を落っことさずに届ける。
しかも、へこんだりしていない綺麗な状態で。
この「荷物を届ける」というのが
音を拾うこと。
「へこんだりしていない綺麗な状態で」というのが
雑にならず表現が伴っていること。
慣れてきてから70キロ以上を目指せばいいんです。
【ショパン「小犬のワルツ」を更に学びたい方へ】
以前に出版していた同書の内容に大幅加筆し、完結編を完成させました。
完結させるにあたって、
読みにくい箇所の修正などもおこないました。
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