【ピアノ】譜読みで読み取るべき5つのポイント

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本記事では、「譜読みで読み取るべき5つのポイント」という内容で解説しています。
「【ピアノ:レベル別】譜読みを効果的に行う6つのポイント」
という内容で先日記事を書きましたが、
本記事ではそこで取り上げなかった「実際の楽曲寄りの内容」となっています。

 

注 : 本記事で譜例を取り上げている作品は

パブリックドメインになっている作品です。

出版社が独自につけたアーティキュレーションなど

権利に関わる部分は一切表示しておりません。

譜例はFinaleで作成したものです。

 

譜例で取り上げている楽曲をまだ学んでいない方も、

基本的な考え方は同様ですので

ぜひ参考にしてみてください。

拍の整理をする

「ベートーヴェン : ピアノソナタ第30番 第1楽章」を例に出しましょう。

譜例(12小節目)を見てください。

多くの学習者がおちいりがちなのが、

「拍を整理できていない状態で音源で聴いたままになんとなく弾いてしまうこと」

この点です。

「拍の感覚がいい加減にならないこと」が重要。

最終的に多少自由に演奏する可能性はあるにしても、

まずは譜例のように、

「各拍のどの位置にどの音価が入ってくるか」

こういったことを譜読みの段階で丁寧に整理しておくべきです。

それをしておかないと、楽曲の骨格が歪められてしまいます。

「カタマリ」から「ライン」を抜き出す

「ベートーヴェン : ピアノソナタ第31番 第3楽章」を例に出しましょう。

譜例(12小節目の左手)を見てください。

赤色ラインと水色ラインはどちらも左手の「隠れライン」です。

「カタマリからラインを取り出す」

というのは、

重要な分析テクニックであると同時に

譜読みの段階で読み取るべき項目です。

ちなみに、
ここでは「水色ライン(バスライン)」の方が
多めに聴こえるようにするとバランスがいいでしょう。
さらに、その「水色ライン(バスライン)」と
「右手のメロディ」とのバランスをとっていきます。

「ウタ」の表現はメロディだけではない

「グリーグ : アリエッタ op.12-1」より冒頭のメロディを例に出しましょう。

譜例(1-2小節目のメロディを抜き出したもの)を見てください。

ここでは1-2小節目にかけてG音が5連続で「同音連打」されていますね。

クレッシェンドは書いてありませんが、

音楽的にはもちろん2小節目の頭のG音に向かってふくらませていきます。

実はここで言いたいのは、そういった音楽解釈のことではありません。

「ウタ」は必ずしも「メロディの流麗さ」で表現されているとは限らない

ということが言いたいのです。

「メロディ自体は停滞させておいて、ダイナミクスで表現をつける」

というのは、

それ自体が充分に「ウタ」の表現です。

こういったところを細かく読み取っていくのが譜読みです。

「あいまいな音価」に注目

譜読みをしていくときに、

作曲家がいきなり5連符を使ったりと

「あいまいな表現」を求めた瞬間を見逃さないこと。

そして常に

「そのあいまいな要素はなぜ出てきたのか」

を考えるようにすると、

ニュアンスを決定する手がかりになります。

「フッとはぐらかすような表現が欲しかったのかもしれない」
「のちほど何度も出てくる5連符を伏線として出したのかもしれない」
「あいまいな要素でウタの表現として聴かせたかったのかもしれない」

などと、他にも様々なケースが考えられます。

重要なのは、

「作曲家にあいまいな表現を求められた」という事実をきちんと意識することです。

作曲家が残した「言葉による指示」を見落とさない

武満徹「雨の樹素描 II-オリヴィエ・メシアンの追憶に-」の高音域部分に、

「Celestially Light」という言葉による指示が出てきます。

こういった、

「書いて無くても成立はしてしまうけれども、書いてあることでグッと音楽の世界に引き入れてくれる言葉」

に私たちは敏感に反応しなければいけません。

 

楽譜というのは、「音程」「リズム」はある程度の正確さを持って書き表せますが、

「音色」などにいたっては書けないことが多くあります。

そこで、作曲家はときには「言葉」も使って伝えようとしているわけです。

「楽譜に書かれていることは作曲家が伝えたかったことのほんの一部」

ということをふまえると、

あえて書き残された言葉は

少なくとも譜読みの段階でしっかりと読み取っておくべきです。


 

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