具体例で見てみましょう。
楽曲が変わっても基本的な考え方は応用できます。
モーツァルト「ピアノソナタ 変ロ長調 K.281 第1楽章」
譜例(PD楽曲、Finaleで作成、57-58小節)
57小節目での右手で演奏するメロディは
見た目はひとつの線ですが、
内容としては多声的になっています。
あえて声部分けをするとすれば、
下側の譜例のようになるでしょう。
中には、このようなことを考えて
フィンガーペダルを使って演奏する例もありますが、
テンポは Allegro ですし
重くならないほうがいいので、
とうぜん、通常通りに弾いても問題ありません。
ただし、
多声的になっているということが
伝わるように弾く必要はありますね。
どうすればいいかというと、
上のほうの声部をやや大きめに
下のほうの声部をやや控えめに弾いてください。
そうすることで、
フィンガーペダルを使わずとも
多声的に聴かせることができます。
口で言うのは簡単ですが、
それをやりながら
各ラインのバランスを美しくとるのには
結構、練習が要るでしょう。
もう一例見てみましょう。
譜例(PD楽曲、Finaleで作成、52-57小節)
52小節目の丸印で示したCis音は
次の小節の丸印で示したD音へつながるメロディ。
56-57小節のように
完全に声部分けされていれば分かりやすいのですが、
52-53小節のように
部分的にしか声部分けされていないと
見落としてしまう可能性があります。
メロディCis音からD音へのつながりを大切に演奏しましょう。
矢印で示したように内声のつながりも意識し
横のラインの流れも乱さないように。
このような隠れ多声メロディというのは、
やはり、全部の音を均等に演奏してしまうのではなく
各音の主従関係を明らかにしたうえで
横のラインも整えるべき。
演奏方法として多声的に聴こえるように
心がける必要があります。
多声的なメロディを多声的に演奏する。
そのためにも
まずは
そのような書法に出会ったときに
きちんと見抜けるようにしましょう。
今回取り上げたような例に触れて
普段から意識もすることで、
だんだんと見抜けるようになります。
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