暗譜の確実性を上げるために
和声を理解した方がいいのは確か。
このWebメディアでは
「楽曲分析(アナリーゼ)」において
和声分析は重要視しなくても良いと書いてきました。
しかしそれは、
楽曲のすべてのところに
シンボル化された和声記号を書き込んでも
分析した気になってしまうだけだということを
言っているのであって、
分析入門段階が終わっても和声がまったく不要だと
言っているわけではありません。
暗譜のために和声を分析するのであれば
「軸の和声」に目をつけてみるのがいいでしょう。
具体例を挙げます。
「軸の和声」とは
譜例(下)で抜き出した和声のこと。
グリーグ「ピアノソナタ ホ短調 Op.7 第1楽章」
譜例(PD作品、Finaleで作成、206-208小節)
譜例(上)を見ると一見音が多くあるようですが、
作曲の発想自体はシンプルです。
譜例(下)で示した軸になっている和声が根幹としてあり
他の和声へは
そこからアプローチしているだけ。
譜例(下)で
どうしてそれぞれの2拍目ウラの音を抜き出したのかというと
次の小節の和音へ
経過としてつながっているからです。
それぞれの1拍目ウラの音は
ただ単に
1拍目オモテと同じ和音である2拍目オモテの和音へ
刺繍的に戻ってくるだけのものなので
軸の和声には含めませんでした。
譜例(下)で示したものを参考に
軸の和声のみで弾いてみて
その内容を理解しておく。
それだけで
この部分における和声分析は充分。
このように
根幹さえ理解できていれば
弾いている最中にちょっと忘れても
大づかみの和声から復帰できるので
リスク回避につながりますし
とうぜん、暗譜に直結する和声分析になります。
この譜例のところは
そうは言ってもわかりやすくシンプルなので
こんなことをやらなくても暗譜はできてしまうと思います。
しかし、
「軸の和声に目をつける」という分析は
もっと複雑な作品となってきた場合に
より効果を感じることでしょう。
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