【ピアノ】あえて空虚な響きにして、色彩を聴衆に判断させる表現

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聴き方の可能性を広げる書法でもある
第3音を抜くやり方を知って、
楽曲理解を深める引き出しのひとつにしてください。

 

具体例で見てみましょう。

楽曲が変わっても基本的な考え方は応用できます。

 

スクリャービン「24の前奏曲 Op.11-16 変ロ短調」

譜例(PD楽曲、Finaleで作成、曲尾)

最後に3回連打される和音を見てください。

主音と第5音しかなく

第3音が含まれないため、

空虚な響きがします。

 

和声学では

原則、ヴォイシングに第3音を含めるように習います。

空虚な響きをつくってしまうと

全体の中でその部分が浮いてしまい

バランスを欠くから。

 

しかし、

この譜例の和音では

あえて第3音が抜かれています。

どうしてなのでしょうか。

 

理由は大きく2つ考えられます。

ひとつは、

そのままですが

空虚なサウンドそのものを聴かせたかった可能性。

もうひとつは、

色彩を聴衆に判断させることを狙った可能性。

 

(再掲)

 

最後の和音連打に入る前を見ていると、

上段、下段のどちらにも

Des音が出てきています。

 

したがって、

普通に考えると

最後の和音に第3音が抜けていても

直前のDes音が耳に残っているので

「B Des F(ドイツ音名)」という

短三和音のイメージが頭に残るはずです。

(コードネームでいう、B♭m)

 

一方、

曲尾で同主長調の和音を借りて終わることも多い

教会音楽などに親しんできた聴衆には、

「B D F(ドイツ音名)」という

長三和音のイメージが浮かぶ可能性もあります。

(コードネームでいう、B♭)

 

つまり、

スクリャービンがあえて和音から第3音を抜いたことで

聴衆は各々、長三和音にも短三和音にも聴くことができるんです。

中には、第3音は鳴っていないものとして

そのまま受け取る聴衆もいるでしょう。

 

このように、

聴き方の可能性を広げる書法でもある

第3音を抜くやり方。

楽曲理解を深める引き出しのひとつにしてください。

 

次に似たような書法がとられている作品に出逢ったら

もう、気が付くことができるはずです。

 


 

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